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絵を見ながら成長していく『恋するフェルメール』 

2008.10.12 この記事をクリップ! このエントリーをはてなブックマークに追加

恋するフェルメール―36作品への旅恋するフェルメール―36作品への旅
(2007/07)
有吉 玉青

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オススメ度 ☆☆☆★
(★は☆の半分くらいだと思ってください)

東京都美術館で行われている「フェルメール展~光の天才画家とデルフトの巨匠たち~」に行こうしていた父親から強奪した本です。
今日からオススメ度表記を始めました。
この本については今回の展覧会の会期中は★がもう一個入って☆4つに化けます

現存するフェルメールの作品を全部見ようとする有吉玉青さんによるエッセイ集です。

1990年から2006年にかけて、盗難された『合奏』以外の35点の作品を見ています。
訪れた国はアメリカ・フランス・オランダ・ドイツ・日本。全部で11都市。

この本を見て驚くのは、絵を見るたびの中で人も成長していくことでした。
例えば、<牛乳を注ぐ女>。1992年の初対面して1996年にもう一度見たときの場面。
1992年は「ガツン。こんな言葉でしか、そのときの衝撃を表現できない」と書いていた有吉さんは4年後にまた同じ絵に対面します。
 学習によって広げられた知識でこの絵を改めてみようとする。「知識は、せめてノックアウトされないための鎧にはなろう」と言って彼女は遠近法的に絵が不自然だとか説明していきます。

フェルメール 牛乳を注ぐ女


 そうして私は、いよいよ<牛乳を注ぐ女>の前にたつ。四年前、言葉を失った、この作品の前に。
 この四年、私はなにをしてきただろう。この絵を語れるほどの言葉を得ただろうか。再会は、それまでの経験を試してくるようだ。
 そして、それはあいかわらず、かたく焼き締められた陶器のように、私の前でひたすら存在感を主張したのだった。私はまた、うちのめされかけたのだ。

止まったような時間の中で、壁に釘がある、釘を抜いたあとがある、サビが残っている、壁のペンキをぬったときに落ちたのであろうペンキが床に残っている、そんな細部におぼれてゆく・・・・・・

結局彼女は絵にうちのめされてしまったのですが、それでも、一つ一つの物を数え上げようともがく姿はとても印象的です。




また、評判の悪い<ヴァージナルの前に座るる若い女>で彼女は藤田嗣司の絵を見た経験を元に、絵を観察します。

藤田は一生の間に多く画風の変わった人でした。
乳白色の女性⇒色彩豊かな風俗画⇒戦争画と人生と彼は変わりましたが
結局人生の最後になって乳白色が復活します。
(この時代の「カフェにて」という絵は私も大好きです。)

「生がさまざまな模索と変遷を経て、自身の最盛期へと円環を描いたのを見て、私は画家が真に天寿を全うしたことを思い、心に平安をいだいた」と81歳で死んだ藤田を祝福した著者は、43歳の若さで、しかも、作品が低調なときに死んだフェルメールの死は悔しかったものだろう、と思い、絵の前に立ちます。

私はとりわけ評判の悪い<ヴァージナルの前に坐る女>を、ためつすがめつみて、そのうち、ヴァージナルの芦の丸みの一転に視線が釘付けになった。黒い地塗りにグレイで模様の描かれた脚。そのふくらみの部分にひと筆、すっと白色がぬられている。
 そうだ、塗り物は、こんな風に光る。フェルメールはちゃんと光をとらえている。こんなひと刷けで、とらえてしまうのだ。フェルメールは衰えていない!
 見ていたら、なんだか泣けてきてしまった。


こういうところを見ると、私も涙が出てきます。
<ヴァージナルの前に坐る女>は今回のフェルメール展に来ています。




 他にも、父が戦後復興期にドン・コサック合唱団、ボリショイ・バレエ団、ボリショイサーカスを呼んだ神彰、母が小説家の有吉佐和子という 彼女の生まれにまつわる逸話も散りばめられていてここもオマケとして楽しめます。
「フェルメール・ブルーより、ぼくは、タマオ・ブルーの方がいいな」という父親の言葉を見ると心が温かくなります
 他にも絵を見るときに絵はがきの裏に感想を書くなどのハックも詰まっていて読んでいて飽きない本でした。


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タグ : 書評 フェルメール 美術

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