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15年経ってもう一度同じモチーフを書くこと『現代詩文庫 井坂洋子』 

2008.11.01 この記事をクリップ! このエントリーをはてなブックマークに追加

現代詩文庫 92 井坂洋子詩集井坂洋子詩集 (現代詩文庫)
(1988/05)
井坂 洋子

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☆☆☆☆
(普通な生活が一番怖い)


現代詩文庫 92 井坂洋子』と、『現代詩文庫 189 続・井坂洋子』を読みながら、
井坂洋子さんの詩に繰り返し出てくる、学生のモチーフのことを考えていました。

彼女が1979年に出した初の詩集の『朝礼』が女子学生の生活をモチーフにしたものでした
1994年刊行の『地上がまんべんなく明るんで』の『発芽』という詩でも
彼女自身をイメージしたかもしれない学生が出てくるのでした

十四歳の冬の朝
雨戸を開けると
光と綿ぼこりの積まれた
学習机の上に
あらゆるイメージが死んでいた
出来事は既に片付けられ
時間が乾拭きにやってくるのを
待つだけ

『発芽』より(『地上がまんべんなく明るんで』に収録)


で始まる『発芽』で描かれる女子学生は
時々夢の中で「誰かをひどくののしっ」たことで「幸福な気持ち」になります。

イメージの死んだ学習机から生まれるこの日がいい日かどうかはわかりません。
そして分からないことによって、「幸福な気持ち」が語り手の中で生きている感じがします。



『発芽』の中で「学校は蛇のようで/制服に呑まれ」と書いた同じ人は15年前はもっと学生のカラダにしみついたものとして、制服を描いていました。

制服は皮膚の色を変えることを禁じ
それでどんな少女も
幽霊のように美しい

『制服』(『朝礼』に収録)

または、
雨に濡れると
アイロンの匂いがして
湯気のこもるジャンパースカートの
箱襞に捩れた
糸くずも生真面目に整列する
朝の校庭に
いく筋か
濃紺の川を流す要領で
生白い手足は引き
貧血の唇を閉じたまま

『朝礼』より(『朝礼』に収録)


『朝礼』はこの後、遅刻している人を数え上げています。
そして、数え上げた後で、
体操が始まって
委員の号令に合わせ
生殖器をつぼめて爪先立つたび
くるぶしにソックスが皺よってくる

という、
男の子の私から見ても忘れようにも忘れられないフレーズが続きます。

そして『制服』で描かれるのは痴漢体験を思わせる通学の場面です。

もともと『朝礼』だって、20代後半の人が書いた詩だから、
いくら学生生活の微妙なところをすくいだしているといっても
コスプレのような気もします。

ただ、集団生活との対比で伝わる少女のカラダの感覚は
自分の居場所を探す魚のようです。
といってもこの魚という言葉だって彼女の詩の
『斉唱』からとったものですが。

斉唱

音楽室では
透明な水が層をつくる

医師のように優しく
先生がタクトを振る
むりにひきだされたにしては
おもわずゆらめく強弱の波
そのあとを
表情がおいかける

隣の人のからだが膨らむ気配に
息の弾みを抑え
魚になっている人
上方で
声の生毛が
天井の孔にむかって靡いている






井坂さんの詩からは、モリマサ公のような、生活からくるどうしようもない孤立感は出てきません。

むしろ、彼女は普通に生きながら言葉を紡ぐことで自分という核とつくっているように感じられます。

 情景を設定し、ことばの段取りをつけ、煮詰めていくと、ポンといい一行が出てくる。詩の中の私と、現実の私とが時期で引き合う関係であること。書いていて、自分で、自分でどきどきしてこなかったらだめだ。フツウのことばが柔軟に息づくようにと祈る気持だった。

『涼しい風が吹いている―自伝にかえて』より


と、書いている彼女の自分の持つ言葉への信頼は
ポジティブと言う言葉ではすくいきれない強さに
私は非常に怖くてたまりません。

井坂洋子さんは東中野のポレポレ東中野という映画館で行われる★「ドキュメンタリー・ドリーム・ショー 山形 in 東京2008」のトークショーに出演します。
出演は11月28日の21時から。
上映する映画は福間健二監督のの岡山の娘だそうです。



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タグ : 書評 詩集 井坂洋子 朝礼

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