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詩の本質を考えさせてくれるジョージ・スツィルテスの講演 書評:『びーぐる』創刊号その1 

2008.11.08 この記事をクリップ! このエントリーをはてなブックマークに追加

季刊 びーぐる 詩の海へ 創刊号
季刊 びーぐる 創刊号
(2008/10)
高階杞一、細見和之
四元康祐、山田兼士

商品詳細を見る


10月に創刊した詩の雑誌『びーぐる』について何回か取り上げて生きたいと思います。

今回は創刊号ということで、詩の未来についてのエッセイが18編寄せられています。
今回、わたしはこの本を犬飼愛生さんからいただきました。彼女の詩も『びーぐる』に掲載されています。

ただ今回は、ジョージ・スツィルテスさんの講演『靴としての詩―詩に未来はあるか?』を読めるだけでも『びーぐる』の創刊号を手に取る意味はあったと思いました。そしてこの詩誌に海外在住の四元康祐氏が参加し、これから先も海外の詩に触れることができるということがとても嬉しいことでした。



ジョージ・スツィルテスはハンガリー出身のイギリスの詩人。
オランダの文学祭で行われた講演が今回翻訳されていました。

詩の未来をテーマにした公演の中で、「話すことと歌うことの中間に位置していて」いるもの、として定義された詩が人間にとってどのようなものかを、彼はとても強い表現で表してくれます。
我々が生まれてはじめて驚きのあまりOの形に口を開き、けれどただ叫ぶだけでは足りないと感じた瞬間から、我々の生存条件の奥深く埋め込まれているものなのです。





東欧の共産主義国家では80年代まで詩人が聖職者としての地位を担っていました。
東京ポエトリーフェスティバルに出演したリトアニアの詩人、ケストゥティス・ナワカスさんによると、結婚の神父役まで詩人がになっていたということでした。
東欧では宗教が禁止されていたから司教になることが可能でした。

しかし、共産党による一党独裁体制が崩壊し、旧来の宗教が入ることで詩人の価値は低下したとのことでした。

もっともこれは、詩人が文学にもどっただけということもできます。
政治的と関わらない場所へ。

社会主義リアリズムでは伝統的な抒情詩を書くことが推奨されていたことも詩人の立場を特殊なものにしたひとつの理由だと思いました。

抒情詩が共産党の一党独裁に置いてどのように扱われたかの一説がミラン・クンデラの言葉を使って赤塚若樹さんのミラン・クンデラ:1929年~1990年で書かれています。
、スターリン主義の絶頂期に抒情詩がはたした役割をとおして、抒情的高揚が「自我と世界の批判的距離」をなくしてしまう盲目的態度であることに気づいたからだ。「小説に身をささげること」は、クンデラにとって「存在論的」な選択だった。そのとき以来「抒情」あるいは「抒情的」という言葉は否定的な響きをともなって口にされる。だからといって、クンデラは詩を全面的に否定しているわけではなく、「チェコ文学に、もっとも著しい発展的刺激を与えたのは詩」であること認め、また「もっとも共感のもてる詩人」としてチェコのフラーニャ・シュラーメクをあげている。


そして、その同じ詩を書く現場で政治が批判されることも詩人を特殊にしたものでした。
「体制側の汗臭い制服」が詩によって選択されていた、とスツィルテスが言います。
彼の講演で引用されているハンガリー出身の亡命詩人ジョルジュ・ペトリが1980年のハンガリー民主化運動の後に共産主義について語った言葉はとても印象的です。
「大好きなおもちゃがなくなっちゃった」

共産主義がなくなることは、詩人への保護がなくなることと同時に、詩人と読者の間の「共犯的意識」までなくなることでした。

そして「15万部」売れていたという出版部数は「500部」になりました。(部数はナワカスさんの言葉から。ちなみにリトアニアの人口は300万人)




「商品」として語られるときと、それ以外のものとして語られるときに、詩ほど落差のあるものはありません。そして生存しつづけたいわたし達はどうしても「商品」としての詩を意識せざるを得ません。それはイギリスでも同じだし。全世界的な傾向です。

 食っていけないという状況でも創作を学ぶ人や発表する人が増えていくという状況は本当は喜ぶべきものかもしれません。
 例えば現代詩フォーラム文学極道もそのひとつです。
 詩が売れていないということだって、たまたま文学の世界にこもっている詩が売れていないというのであって、ボブ・ディランは売れているといわれたらわたしには何も口答えができないのです。

 自分が食えないという状況で毎日悩んでいる今だからこそ、
我々が生まれてはじめて驚きのあまりOの形に口を開き、けれどただ叫ぶだけでは足りないと感じた瞬間から、我々の生存条件の奥深く埋め込まれているものなのです。

 のような詩の本質を自分は大事にしないといけないなと思いました。

ジョージ・スツィルテスさんの詩は彼自身のウェブサイトPoetry Archiveの彼の項で読んだり聞いたりすることができます。




最後に。『びーぐる』の出版は関西の澪標(みおつくし)。奇しくも『銀河鉄道の夜』の元になった宮沢賢治の詩『薤露青』にでてくる言葉です。
 季刊で、一冊1,000円。山田兼士さんのWEBサイトより買えます


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