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イシダユーリさんの詩のグルーブについて  

2008.11.21 この記事をクリップ! このエントリーをはてなブックマークに追加

イシダユーリ XXXチャイナXXXチャイナ
(2008/07)
イシダユーリ

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☆☆☆☆★
(リズム)

今日取り上げる詩集はイシダユーリさんの『XXXチャイナ』です。私家版です。

彼女の詩は下記サイトから読むことができます。詩集に収録されている詩もあります。





彼女とは5年前に朗読会で知り合いました。
長く朗読を聴いているうちに、
彼女や今村知晃の朗読と、彼女の詩を切り分けられなくなりました。



初めて彼女が詩を冊子にまとめられた機会に改めてテキストを読み、
自分で書き写し、朗読してみました。

そして思い起こしたことが
中也の詩が始めて聞かれたときのことでした。
別にそれは彼女の詩が中也みたいだというのではありません。

<中也の詩が生まれたころに中也の詩を読んだ人>の感覚と
<今生きている彼女の詩を読んだ私>の感覚が
似ているのかもしれないということを考えたのでした。
もちろん中也が生まれたころに私は生まれていないのですが。

彼女の詩は中也のあの
サーカス小屋は高い梁
  そこに一つのブランコだ
見えるともないブランコだ

頭倒(さか)さに手を垂れて
  汚れた木綿の屋根のもと
ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん

中原中也『サーカス』より


ような、伸びていく音ではありません。
福島泰樹らの語る中也のサイレント映画の弁士に似た音の鳴り方は、
中也のいる時代でこそ新しい感覚でした。

ユーリさんの言葉はむしろ連打してきます。
繰り返される言葉が微妙にずれてグルーブを生み出していきます。


例えば、『f-MRI』という詩の

なにもわかっていないからなにかおこったときのことだってわからない
地球は丸いんだカメの甲羅の上にあるんじゃないしゾウの鼻息でおきるのが地震じゃない
落ち葉を握り締める夕方落ち葉が手の中でぐしゃぐしゃにちぎれる夕方
fear,fear,fear,fear,fear,fear,fearには原因がない
だから、fear,fear,fear,fear,fear,名前で呼びたい
名前でよびたいて思うことに、fear、あたしが異形なのは、
脳の形からだって、わかる、fear,dakara,fearには正体がない
なにもわかっていないからなにかわかったときのことだってわからない
けど、私が異形なのは、脳の形だからだって、わかる
fearがあるから、fearがあるからね、
病気は、まったく、あたらしい!地球はまるい!あたらしい!
わからない、ただ、あたしは生きてる、
けど、fearは生きてるのか、わからない、
頭に腫瘍みたいにfearがある感じ、
tenseやangryはもっと、全身的で、
けど、fear、は腫瘍だ、dakara!わからない、

イシダユーリ『f-MRI』より


19回繰り返される「fear」は、半分の行に散発しています。
それ以上に、この連のほとんどすべての言葉が「fear」という横文字にからみとられているのが見て取れます。

例えば、最後の「けど、fear、は、腫瘍だ、dakara!わからない、」で使われる言葉の出てくる場所を見てみるとこんな感じです。


  • 「fear」:4,5,6,7,10,13,14行目
  • 「dakara」:7行目
  • 「わからない」:1,8,12,13行目
  • 「けど、」:9,13,16行目
  • 「腫瘍」:14行目)


そのほかの行の「なに」も「じゃない」も「異形なのは」も「fear」という言葉にからみとられて身動きが取れません。
かろうじて2行目と3行目の「地球」や「カメ」や「落ち葉」が「fear」から逃れていますが
「落ち葉」は3行目で息絶えているし、
2行目の「地球」や「カメ」や「ゾウ」というインドの世界観を思わせる言葉も対句の中で使われて完結しています。

ある言葉が、「fear」より前に出たか
または、「fear」より後ろに出たか関係なく
言葉が「腫瘍」の「fear」に奪われていく感覚が私の頭を揺らすのでした。

そしてそれはちょうど中也のこんな詩に似ているのでした。
詩に出会ったという感覚が身体に残るのですが
それはリズムからくるのか中身からくるのかは今もわからないのでした。

月の光が照つてゐた
月の光が照つてゐた

お庭の隅の草叢に
隠れてゐるのは死んだ児だ

月の光が照つてゐた
月の光が照つてゐた

おや、チルシスとアマントが
芝生の上に出て来てる

中原中也『月の光 その1』より





今日の日記はこれでおしまいです。
これ以上かけないからです。
今回取り上げた彼女の詩集を購入するにはWEBなどで本人に連絡をお取り願います。

また、イシダユーリさんの詩は下記のサイトから読むことができます。



最後に、イシダユーリさん参加している朗読ユニット・ワニラのが主催する朗読会が11月22日に行われます。本人の朗読を聞いていただけると嬉しいです。

第6回 裏庭朗読会
11月22日(土)
14:00オープン
14:30スタート

都営地下鉄三田線 白山駅 JAZZ喫茶映画館にて(Web
入場料300円+1ドリンク

裏庭朗読会は、参加自由の詩の朗読会です。お持ちになった文章を、1人5分の範囲で、朗読していただけます。マイクなし、音楽なし、絶叫無し、の、詩を中心においた静かなイベントにしていきたいと思っています。自作を朗読するだけでなく、好きな詩人の詩を読んだり、他の人の朗読をゆっくりと聞いたりして楽しんでください。聞くだけの参加ももちろん大歓迎です。

小さな声や、明確な方向性を持たない声も拾い上げられるような、無理のない自然な場を、みなさんと共有できたら幸いです。なによりも、テキストの良さを丁寧に味わえる時間にしたいと思っています。

当日エントリー制のため事前予約は要りませんが、一言「いくよ」と声をかけていただければ、とてもとてもありがたいです。よろしくおねがいします。

ワニラ(cream_er@hotmail.com)




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