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写真で見るハンセン病と日本の歴史 書評『ここに人間あり』 

2008.11.23 この記事をクリップ! このエントリーをはてなブックマークに追加

ここに人間あり―写真で見るハンセン病の39年ここに人間あり―写真で見るハンセン病の39年
(2007/02)
大谷 英之

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☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
(日本で生活している人はきちんと過去に日本国が何をやったかを知るべきだと思います)



ここに人間あり』は国立ハンセン病療養所の入所者を撮影した写真集です。
フォトグラファーの大谷英之さんは1967年に、偶然元患者と知り合い、それから40年近くにわたってハンセン病に関係する写真を撮影されています。

この本は読まれるべきだと思いました。
単純に言うと『日本語がほろ』んでもいいけど、自分たちがどんな人間かは知るべきだと思いました。

ハンセン病についての本はいくつかありますが、写真の形で生活の姿が数多く見える本が中々ないからです。
あとで語るのですが、後遺症の残る元患者の生活を見ていただくことで、ひろしまのようにようやく姿が見える気がするのです。
この本の一番古い写真は1967年。道の真ん中を通る柊の垣根を写した写真です。
左側は一般人の遊歩道ですが、右を通ると多摩全生園につくといいます。
1960年代にはほとんど患者が出ることはなかったにもかかわらず、
政策によって、ハンセン病患者、とくに療養所に入ったかたは不自由な生活を強いられました。

この差別は松本清張砂の器で痛烈に批判されています。この小説も60年代です。


舌読によって本を読む人



この本には
  • 日本台湾韓国の療養所の風景
  • 療養所内での入所者の生活
  • 活動な入所者の生活
  • らい予防法下でのデモ活動
  • らい予防法廃止後の国家賠償請求裁判
の写真が収められています。

中でも療養所内での入所者の生活を撮った写真は人の可能性の大きさと、生きているということの悲しさの両方を突きつけて鬼気迫るものがありました。

可能性の大きさを思わされたのは療養所内で入所者が本を読まれる写真でした。
表紙でも使われています。

点字を舌の中ほどまでに触れさせて、本を読まれるのです。
『舌読』といいます。Googleで探しても出てきません。
ハンセン病の後遺症で視覚や手足の障害が残ったのです。
さわっても読めない字を読むための最後の場所が舌でした。
ロシア文学全集を読書したという舌もありました。
人間の知識を求める欲求に私はほとんど震えが隠せませんでした。
写真の撮影が1999年のものなので、舌読はもう何十年も続けられてきたのでしょう。

舌読によって聖書を読めるようになった経験が書かれたページがありました⇒小さき声 No.6



ほかにも、足を失ったおばあさんが、彼女の頭ほどの頭を持つお人形をあやす写真があります。
ハンセン病患者は政策によって子供を残してはいけないことになっていました。
男性の断種手術を行うための台の写真もありました。




療養所でしか通用しないブリキのお金や涙腺の機能が悪くなっているために汗だくになっている男性の写真。入浴の写真もありました。

塔のようになった入所者の墓の石積みは故郷に帰れなかった入所者の祈りがあるといいます。

畳張りの部屋の写真も印象強いものがありました。
治療に使われる身体全体に巻かれる包帯が5人の生活観あふれる女性の周りにたくさん置いてあります。
散乱しているのではなく、一つ一つがまとめられています。
部屋の一番奥にいる女性の下着が透けているのは病気のせいか、それとも夏のせいかは分かりません。
「治療のための包帯は何度もまきなおして使われた。巻き直すのは入所者の仕事だった」という説明から、この写真の女性が確かに入所している人であること。そして置かれている包帯がかつて患者に巻かれており、そして再利用される包帯だということが分かります。



国立ハンセン病療養所とハンセン病患者の差別について



ハンセン病の患者は、古くから差別を受けてきました。
患者の外見的な特徴と、病気が治らないと思われてきたことからによります。

近現代の日本でも差別はありました。
差別しただけではありません。

日本の人はハンセン病を
ほとんど感染することのない病気であることを知っていて差別しました。
また、完治する病気だと知った上で差別しました。

1909年から1996年までの90年近くの間、一般人から隔離された国立ハンセン病療養所での生活を強いられていました。
断種や堕胎手術が行われ、子孫を残す権利を奪われました。
逃走しても生活ができないように、療養所のお金はブリキで作られました。
「刑務所の囚人より一階級下の扱いをする」と告示され、監禁室に入れられました。

戦後のらい予防法など隔離を認める法令は、モグネットから閲覧できます。

政策によって、治療よりも隔離が推奨されました。
1943年にアメリカで特効薬が発見され1947年には日本でも効果が証明されました。
日本は当時、太平洋戦争の戦時中であったため、プロミンの情報は、中立国スイスからドイツの潜水艦によって伝えられた。戦後の1946年、東京大学薬学部教授の石館守三がプロミンの合成に日本で初めて成功し、1947年には、日本癩学会でプロミン治療に関する研究発表が行われ、シベリア帰りの兵士に対して使用し症状の劇的な改善を認めたことによって証明された。[35]しかし、日本では、療養所幹部の中に効果に不信を持っている人が多かったことと、隔離政策の崩壊を危惧する意見も多かったため、各療養所に十分な量のプロミンの配布が行われず、使用が制限されていた。そのため、プロミンという特効薬があるにもかかわらず、大風子油による治療を継続を余儀なくされていた患者が多くいた期間があった。プロミンは、1949年より予算が計上されるとともに少しずつ薬が普及していった。

Wikipediaより引用。強調はイダヅカによる


らい予防法という1948年に制定されたハンセン病患者の治療(隔離)のための法律が廃止された後も、隔離施設の中で長い人生を過ごし、老いたがゆえに、一般社会で自活できない人もいらっしゃいます。
自活できないことも理由の一つとして、療養所で生活されている方もいらっしゃいます。


そして差別は最近でも続いています。
2003年11月に熊本県の黒川温泉にて、ハンセン病元患者宿泊拒否事件がおきています。



2001年にらい予防法の違憲判決がでました。
だからこそ、私たちはあらためて、
私たちがかつてどのような国だったかを知るためにも
学校教育の時点からこの写真集を読むべきだと思いました。
「差別の歴史」と語るのは簡単なのですが、
その実際を見るのはアメリカの黒人差別の歴史に触れるよりも
同じ国に住む人だからこそ、難しいし、重要だと思いました。、



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タグ : 写真集 書評 ハンセン病 ここに人間あり 大谷英之

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