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書くことと認められること 書評:塔和子『いのちと愛の詩集』 

2008.11.28 この記事をクリップ! このエントリーをはてなブックマークに追加

塔和子 いのちと愛の詩集塔和子 いのちと愛の詩集
(2007/05)
塔 和子

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☆☆☆☆☆
(書くことでしか認められない場所、について考えさせられる詩集です)

いのちと愛の詩集』は塔和子さんの詩と随筆の選集です。

塔和子さんは瀬戸内海のハンセン病療養所大島青松園で生活されている詩人です。
1943年(昭和18年)、14歳のときににハンセン病と診断されて青松園に入園しました。
1952年(昭和27年)にハンセン病自体は完治しているのですが、
後遺症などによって青松園にとどまり、現在も生活されています。

今までに19冊の詩集を出版。1999年に高見順賞を受賞されています。


ハンセン病療養所で詩を書くこと



1959年に書かれた『浦島記』は、15年の療養所生活で唯一許された療養所外、つまり一般社会への外出体験のエッセイです。
(1959年は戦後14年目にもかかわらず、らい予防法によってハンセン病患者・元患者は隔離されていたのでした。退所もほとんどできない状況でした。)

このエッセイの始まりで解説される言葉、「社会」は彼女の詩を書かせる背景を教えてくれて余りあるものがあります。
私たちがその言葉を使うとき、私たちはいつも活き活きと活動している島の向こうの世界と、消費面だけの生活を続けているらい療養所という異形の島を、厳然と、あるいは、自嘲的に、区別しているものである。

(註:らいは「やまいだれ」に「頼」)

らい予防法では、療養所からの退所規定はありませんでした。
「消費面だけの生活」と書かれる孤島に、出て行く自由もないまま生活をする人の自分を認められる機会として詩や短歌を書いた。と書くと短絡的過ぎるのでしょうか。

干している洗濯物でようやく自分がその日生きているということを証明されるという詩、
』の淋しさは
(『ちいさな田中さん』からいただきます。『アリバイ』と同じ詩です)

そして、『証』に賛同する方の多いことは、もう2つの疑問を私に押し付けます。
それは
  • 人はいかに自分が認められないと考えているか
  • 認められるという証明の方法の少なさ
です。



私のブログでは『証』ではなく、『いい調子』を紹介したいと思います。
詩を通して広がる彼女の幸せを描いているキュートな一編です。

いい調子 塔和子

「詩学」にのっていた
あなたの詩を読みました
いい調子がんばって下さいと
ハガキが来た
  いい調子という言葉が
  みょうに嬉しかった
  日常のこともいい調子でゆけばいいのに
  どじばかり踏んでいる私のこと
  そうはゆかない
  ひょっとしていい調子の方へ
  かたむいているのだろうか
  どうせなら
  そうあって欲しいと
  思わずほほ笑むこの一瞬
おいこげくさいぞと
夫の声
そうだそうだ忘れていたと
  私はまた
  バネ仕掛けの人形のように
  日常の方へすっとんでゆく


この詩で出てくる夫の赤沢正美さんは歌人で、塔さんの一番初めの先生でした。
『それ』という詩では彼女と赤沢さんとの生活の様子が描かれています。

「私が詩を書いて聞かせると/それは電子計算器より出る答えよりややこしくて熱っぽくて/私をううんというまでたたきのめす」
と塔さんの詩を添削するさまを描くのと同じテンポで続けられる
「それは/いつから私の前にいたのかと聞かれると/おかしなことにまことに明確に『結婚した日は何年の何月何日です』と答えられる歴史」
 という行に、石垣りんさんとはまた違う芯の強さと、暖かさがあって驚かされます。



塔和子さんの詩が読める場所


塔和子さんの詩集の通販と、大島青松園についての資料が読めます⇒ハンセン氏病と詩人塔和子の世界

四国新聞社に彼女の全詩集刊行時の記事があります。写真と詩がいくつかよめます
塔和子さん全詩集刊行

Culture Jammer いのちの旅で、塔さんの詩集『うたのおくりもの』に所収された詩が読めます⇒うたのおくりもの : 塔 和子さんの詩(うた)

おもろ優しいエコさん達で、『いのちと愛の詩集』に所収された詩を読めます⇒いのちと愛の詩集…塔 和子


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タグ : 書評 おすすめ 詩集 塔和子 ハンセン病 いのちと愛の詩集

コメント

 

ある閉鎖病棟で15のときに
「カラマーゾフの兄弟」が図書室にあり退屈で読んだ私がそのとき書いていたものと塔 和子さんの「生」への意識がはっきりくっきり違うことに、なんというべきか。

いいですね。「いい調子」 

気軽に言葉をかけられないほどの、レアな境遇を生きてこられたと、そう思ってしまうのだけれど、伴侶の方とのやり取りに、幸せ具合も察せられて、不思議です。
バネ仕掛けの人形のように飛んでいかなくっちゃ、私も。…鍋をかけながらコメント書いているので。笑い。
ご紹介ありがとうございました。

 

くま出没さん>
どうちがったのでしょうか。
気になります
カラマーゾフを15で読んでいたのはうらやましいな。

街中の案山子さん>
トラックバック、間違って飛ばしたかなと一瞬だけあせりました。
(チェックせずにやっていたので)

ありがとうございます。
幸せ具合が察せられる詩をよむと安心してしまいます。
私はそういう幸せな詩を書くことがなかなか難しい子なので
一度幸せな詩をあつめて紹介してみたいです。

街中の案山子さんもこがされませんように

 

って!
本当にTBを飛ばしていたんですね。
失礼しました
本当にすいません。

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