社会分析脳を訓練する実践読書ブログ

勉強会の開催、参加・ビジネス書や人文書の読書を通じて、将来を見通す能力「社会分析脳」を鍛えていくブログです。

<<国立ハンセン病療養所多摩全生園にいきました  | ホーム | 書くことと認められること 書評:塔和子『いのちと愛の詩集』>>

スポンサーサイト 

--.--.-- この記事をクリップ! このエントリーをはてなブックマークに追加

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


ブログランキングに参加しております。よかったらクリックしてください。
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ

人気ブログランキングへ1

真木悠介さんの講演@横浜トリエンナーレ  

2008.11.30 この記事をクリップ! このエントリーをはてなブックマークに追加

横浜トリエンナーレ



11月30日で終わってしまう横浜トリエンナーレに行きました。
展示も見てないので行きました。

真木悠介さんの講演を聞きたくていきました。
真木悠介さんは日本を代表する社会学者です。宮沢賢治の研究者でもあります。
美術について語られるときいてどんなことを話されるのかなと思っていました。

進行の悪さのおかげでうまいことマインドマップにできました。
清書したものをアップするとこんな感じでした

081129 横浜トリエンナーレ 真木悠介


真木悠介さんの講演



『現代アートの起点・終点・新生』と、真木さんが題されていた講演では
  • 現代美術のはじまりとして、ゴーギャンを紹介し、
  • 現代美術の行き詰まりの原因について宇佐美圭司から考察し
  • ゴーギャンの絵の読解を通じて、これからの現代美術へつなげよう


という内容のつもりだったと思います。
そしてヨーロッパの考え方の外へ出るべきだというのを結論されていたのだと思います。

人身事故による真木さんの遅刻と、スライドの故障のため非常に悪い進行だったのが残念でしたが、
以下面白かった点をいくつか出してみます。




点描の技術を使って明るい色を示した印象派とその延長線上にいるゴッホに対して、
ゴーギャンで始まる現代美術はイデアを示す輪郭を強調したものでした。

宇佐美圭司さんの『20世紀美術』の言葉から20世紀美術は「還元的情熱」だったという言葉を紹介されて説明された情熱は、徹底的に無駄を省く方向に進みました。それは、モンドリアンやジャコメッティ。本名の「ロトコビッチ」をミニマル化したマーク・ロスコでした。



現代美術が行き詰った原因と現代社会の行き詰っている原因が「還元的情熱」ということでは同じだということが非常に興味深いことでした。

現代美術の場合は還元的情熱が以下の3つに集約されたことが行き詰まりの原因とのことでした。
  • 量への還元⇒大きいものがいい
  • 新しさを求める⇒商業化
  • オリジナリティの過剰な競争⇒オリジナリティが自己目的化する


現代社会の場合は還元的情熱が以下の3つに集約されたことが行き詰まりの原因とのことでした。
  • 量への還元⇒ROI・売り上げの偏重
  • 新しさを求める⇒特別剰余価値・サブプライム
  • オリジナリティの過剰な競争⇒特許・すきま産業

というのです。

そして、現代美術の場合も現代社会の場合も、量と新しさとオリジナリティのすべてが一番重要なことではないのです。
例えば、美術ではダヴィンチや印象派、キュピズムが今もいいといわれます。
社会でも企業の一義は継続であって新しさや儲けではないはずだからです


現代美術の終わりの作家として杉本博司さんの作品についての話も興味深いものでした。

『海景』という世界中の海を撮影された写真の連作と、マーク・ロスコを比較されます。
ロスコのともすれば陰惨なほどに削られた色そのものの姿に対して、杉本博司さんの地平線に海と空だけというモノクロ写真は、細かな光の違いや波、写真を世界中で撮るという試みの中にディテールや想像力の豊穣さを感じさせられるといいます。

 若き日の真木悠介さんは杉本博司さんとアメリカで遊びまわられていたそうです。
 遊びまわっていたときの回想として、倉庫の壁のしみへの杉本さんの愛着の話は興味深いものがありました。壁のしみを想像力でふくらまして「馬」や「ティッシュ」だと話されては面白がっていたという話です。話そのものよりも、彼との生活がNYで一旗挙げようという他の作家の空気と違っていたということでした。目が新しいものを求めてギラギラしていると、見えるものも見えなくなるのだなと心を戒めようと思いました。

『海景』について、Takさんのブログ、弐代目・青い日記帳の『杉本博司展』で「古代の人が想いを馳せた海と現代人が目にする海。そこに古代の亡霊を見るのかもしれません」と書かれています。



一番聞き応えがあったのはゴーギャンの作品の話です。
真木さんによると、ゴーギャンが絵で一番語りたかったことは

死して100年経って、今も発表当時に不評だった赤い犬をカットしたままで『アレアレア』の絵はがきが売られていることに驚かされました。
さらに驚いたのはこの赤い犬。首輪もせず、ただのっそりあるいている犬こそが自由や共存の象徴であることでした。

また、ゴーギャンの生涯最後の傑作『http://coolsummer.typepad.com/kotori/2004/05/post_1.html>我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか』で使われている神話的象徴についても興味深いものがありました。

 この絵は、右側から赤ん坊、木の実を取っている女性、老婆が描かれています。誕生、生活、死を示していると言われています。
 この絵の中で真木さんが言及されたのは、死を表している部分です。
 特に、死を前にした老婆の右にいる女性、そして老婆の左ハトと、ハトに踏まれているトカゲでした。
 踏まれているトカゲは死の象徴。ハトは生の象徴とのこと。そして、老婆の右に描かれている女性はタヒチでは神から人間を産んだ女の象徴とのことでした。
 死と生が隣り合わせにある絵の中で輪廻を表したかったのではないかという真木さんの推測は非常に納得できるものでした。

 そして、きちんとヨーロッパやアメリカといった商業的なことを考えていたり、マーケットのある場所を離れて物を考える必要に私も強く共感しました。


ブログランキングに参加しております。よかったらクリックしてください。
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ

人気ブログランキングへ1

テーマ : 思うこと - ジャンル : 学問・文化・芸術

タグ : レポート 講演 真木悠介 見田宗介 横浜 トリエンナーレ

コメント

 

河出文庫から出てる「楽園への道」面白いよ。
知ってた?
ゴーギャンの祖母はフリーダ・カーなんだってhttp://www.kawade.co.jp/sekaibungaku/list/01.html

 

あ、すみません
河出書房さんです(汗

 

あ、俺それ読んだ。
あれはおもしろい

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://literturehardcore.blog51.fc2.com/tb.php/145-66ad650c

 | HOME | 

出演予定イベント
3月17日 (水)19:00-24:00
『ユアパ!vol.34@渋谷SECO』


渋谷SECO
東京都渋谷区渋谷1-11-1 B1F
03-6418-8141
1000円+ドリンク
メールマガジン
ポエムコンシェルジュの選んだ一篇
(ID:0001086342) 読者登録解除フォーム
メールアドレスを入力してボタンを押すと登録・解除できます。
登録フォーム**
まぐまぐ 『まぐまぐ!』から発行しています。
カテゴリー
月別アーカイブ
RSSフィード
最新記事のRSS
最新コメントのRSS
最新トラックバックのRSS

Add to Google
はてなRSSに追加
My Yahoo!に追加
Livedoorへ追加
最近の記事
ブログ内検索
リンク
アクセスカウンター
最近のコメント
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

twitter
ブログパーツ



復刊ドットコム
絶版になっている本の復刊に
協力願います。

アイデアのおもちゃ箱
新しいアイデアを思いつくツールが全部で20種類以上!
発想力を高める方法や偉人の発想エピソードも詰まっています
書評
おすすめ詩集(インディーズ)
おすすめ詩集(インディーズ)

五十嵐倫子『色トリドリの夜』
ブログ関係
プロフィール

イダヅカマコト

Author:イダヅカマコト
ポエム コンシェルジェとして、詩集や文学、発想の紹介をしております。
恋愛詩、克己詩、悲しい詩、うれしい詩など、こんな詩が知りたいというごお問い合わせを歓迎しております。
ご献本やコラム・書評の執筆依頼、撮影などの依頼もうけております。
ご献本いただいた書籍にはご紹介を書くよう努力しております。

よかったら、お問い合わせフォームよりメッセージください

また、Twitterもやっております。
こちらからよろしくおねがいします。

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。