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世界の女性詩は『something』から! 

2009.01.02 この記事をクリップ! このエントリーをはてなブックマークに追加

something8something8
(2008/12/24)
鈴木ユリイカ三角みづ紀

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☆☆☆☆
(幅広い年代の女性詩人の詩集)

 詩人の鈴木ユリイカさんが編集発行している『something8』は、現代詩手帖賞を受賞した三角みづ紀さんら、女性詩人ばかり25人の詩とエッセイを25人分編集したアンソロジー集。私は三角みづ紀さんから買いました。
 8とあるように今回で8回目の発行ですが、前まで女性ばかりかは知りません。
 今回は3編の詩と鈴木ユリイカさんによる評を載せた小冊子『something blue』がついています。

 アンソロジーなので、どれを話すか迷うのですが、20代の三角さんから、40代、今年で傘寿を迎えられる島田陽子さんまで幅広く女性を取り扱っております。と書くとカタログみたいで申し訳ないです。


すきだった詩



 今回詩で特に興味深かったのは羅喜徳さん、壷坂輝代さん、ロッテ・クラマーさんでした。

まず羅喜徳さんの『脱いだままのストッキング』
短い詩なので全文引用します

脱いだままのストッキング 羅喜徳

疲労の極みに達しつつ駆けて来た雌馬が
ここに倒れている
これ以上流れないもののように

生の顔は細かい網のようで
小さなささくれにも撚(よ)りがぽろぽろ解けて行き
膝と腰の部分はすでに伸びている
身体が引きずり回して脱ぎ捨てた欲望の
殻はまだ身体の屈曲を覚えている
衣装を脱いだ芸人のように素足が見慣れない
すぐに持ち上げ、起き上がって水中に投げ入れれば
駆けてきた一日が現像されて出て
水を一口飲んだ雌馬は
茶色が濃くなりつつ、起き上がる
またもう一つの衣装となるために

一晩中、たてがみはトンボの羽のようによく乾くことだろう


短い詩の中で、死と再生が雌馬をモチーフに語られきってしまっています
「生の顔は細かい網のようで/小さなささくれにも撚(よ)りがぽろぽろ解けて行き
/膝と腰の部分はすでに伸びている」という言葉の連なりの描写の豊かさは、非常に細かいモザイクを見ているかのようです。

彼女の詩の日本語訳は佐川亜紀さんのWEBから韓国詩のページで読むことができます。



生活のなかの生



壷坂輝代さんが今回収録されたのは『箸』の使い方を書いた連作です。
箸使いのマナーやタブーは27個もあります。
(リンク先はwincube

例えば「すかし箸: 骨付きの魚の上側を食べた後、魚を裏返さずに骨越しにつついて食べる」なんて私も始めて知りました。

今回収録されているのは『迷い箸』『にぎり箸』『刺し箸』『落とし箸』。
箸の使い方をテーマに生につなげるのですが、
『落とし箸』では、老いて箸を落とすようになった母とのやり取りが非常に美しいです

落とし箸 壷坂輝代

ふいに 手元がゆるんで
落ちていく箸
母よ
痛む腰を曲げて拾わなくてもいい
あわてて言い訳などしなくてもいい

幼い日
はじめて箸を握ったあの日
わたしが落とした箸を
何度も拾い上げ
エプロンで拭いて持たせてくれた
励ましの声のぬくもり

わたしの人生の箸使いは
あなたから受け継いだもの
母と娘の
絆を今こそ食してください
あなたが育んでくれた
私の五味で
寂しさを充たしてください

いま 何度でも
あなたの箸を拾って
こわばった手に持たせてあげる
わたしの心を添えて




なんとなく大傑作



ドイツの詩人、ロッテ・クラマーさんの詩、『氷が説けるとき』は鈴木ユリイカさんの評がもっとも当を得ているように感じます。

これについてつけた鈴木ユリイカさんの評で、「けれど 詩だけは なげれつづけようとするのだ/凍てついた言葉が解けるとき」という言葉をもとに詩を読むと「すこしくらい内容が分からなくても大傑作」と言われると納得せざるを得ません。
わたしもこの言葉以外目に付かなかったのです。

『氷が説けるとき』の全文は鈴木ユリイカさん本人のブログ、aoiuem's blogから読むことができます。
こちらでは、たくさん詩の抜書きがあります




ここに挙げたほかにも三角みづ紀さんの『裾』や、松田有子さんの『カンディンスキーの食卓』など面白い詩はまだあります。
また、新川和江さんと吉原幸子さんの作られていた女性詩の詩誌『ラ・メール』の舞台裏を教えてくれる棚沢永子さんのエッセイは非常に読み応えがあります。
この中で新川さんが吉原さんを評した言葉はお二人の詩が好きな方なら必ずどきりとします。


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タグ : 書評 感想 鈴木ユリイカ something 壷坂輝代 羅喜徳

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