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言葉への疑いに満ちた詩集 小長谷清実 『わが友、泥ん人』 

2009.04.14 この記事をクリップ! このエントリーをはてなブックマークに追加

わが友、泥ん人わが友、泥ん人
(2006/08)
小長谷 清実

商品詳細を見る


小長谷清実さんの『わが友、泥ん人』は、言葉を書くことについての疑問に満ちています。

それは、あたかも言葉そのもの自体に、言葉へ対する疑いがあるようにも見えます。

例えば、『震えとして』というを取り上げて見ます。

震えとして

天井の裏側を這うようにして
少しずつ移動していく何かがあって


壁の内側でひっそりと
身を捩っている何かがあって


部屋の外の階段を目立たぬように
ずり落ちていく何かがあって


そうした何かに絶えず
気を配って


もう一匹の
何かとして


時にふと思い立って 周りの気配を
鉛筆で紙の上にメモしたり


メモの上にメモを重ねて
判読しがたいメモとしてしまったり


そうした日々を怪しんでみたり
毎日のことだ 怪しむに足りぬと思ったり


かくして 表現力のまことに乏しい
メモのアーカイブを


ひらひらの一片の紙の上に
写し取っているのだ たった今


あるいは世界とやらに共鳴するやも知れぬ
もう一匹の震えとして

このは2行ずつの連でできています。
それ以上に注意しなければいけないことは、連をつなぐ空白も2行あいていることです。
この空白によって、たどたどしくなった言葉の運びが、語り手の顔をみせてくれています。

そして、うごめいている「何か」を「鉛筆で紙の上にメモしたり」している語り手ですら「もう一匹の」「何か」でしかありません。

「天井の裏を這ってい」たり「捩(よじ)ってい」たりする動きは語り手によって「震え」という言葉で言い表されていますが別の「何か」は本当はのた打ち回っているのかもしれず、はしゃいでいるのかもしれません。
そのとき、別の「何か」は語り手のことをどういうのでしょうか。

「メモの上にメモを重ねて/判読しがたいメモとしてしまったり」といった、書くことに触れている部分がそのまま人生をあらわしているようで、分かりやすい言葉でかかれているのにとても怖いです。

小長谷さんは1977年に『小航海26―詩集 』でH氏賞を受賞されている人です。
近年は絵本なども書かれています。

ひとつひまわり (福音館の幼児絵本)ひとつひまわり (福音館の幼児絵本)
(1998/11)
小長谷 清実

商品詳細を見る


簡単な言葉で書かれているはずなのに、世界に対する疑問をかけるのは、絵本を書かれているせいでしょうか。

ほかにも、『空の破れめ』というの、

卑小さをうつす鏡みたいな
そして 茫漠としたドームみたいな
時空に向けて
わたしに似た男がコトバを発している
やみくもに放っている
たとえば「行く!」
あるいは「黙る!」
たとえば「食う!」
あるいは「聴く!」
たとえば「眠る!」
あるいは「笑う!」
けれどもコトバはことごとく
それぞれの語尾を震わせ
語幹を揺さぶり意味を捩じらせ
多層化しアイマイ化し
時空のなかに その破れめに
吸い込まれていく、
小刻みに、
ことごとく、ぜんぶ、


という部分、とくに「ことごとく、ぜんぶ、」と打たれている読点に私は魅力を感じてしまいます。
小長谷さんは、言葉がつかえることがいいことかどうか、一度聞いてみたくなるを描いてくれます。


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テーマ : 本の紹介 - ジャンル : 小説・文学

タグ : 書評 小長谷清実 わが友、泥ん人

コメント

Re: 言葉への疑いに満ちた詩集 小長谷清実 『わが友、泥ん人』 

すごくきれいな文章ですね!
憧れてしまいます。

Re: Re: 言葉への疑いに満ちた詩集 小長谷清実 『わが友、泥ん人』 

ありがとうございます!
小長谷さんの詩はとてもきれいです。
今年会った中ではとてもいい詩だとおもいました
よかったらお試しください。

「交野が原」という詩の雑誌のWEBでも
小長谷さんの作品を読むことができます

http://www5d.biglobe.ne.jp/~kanahori/kanahori/katano/51sakuhin.htm
非常に力のある詩人の作品が惜しげもなく公開されているので
よかったら見ていただけるとうれしいです

ありがとうございました

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