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英語の詩を翻訳して言葉の世界の幅広さを知りました −Elizabeth Bishop 「One Art」
2009.08.19

やっぱり日本人ですので英語を勉強したいと思うのは大好きです。
英語の詩は英語で読みたいなと思っています。
日本語があるようならば翻訳を読みます。
ときどき訳しても見ます。
今回出会ったのはアメリカのElizabeth Bishopが書いた失うことについて書かれた詩「One Art」。彼女とは関係なく読んでいた創作の本の中で見つけて心打たれた詩です。
キャメロン・ディアスが出演した『イン・ハー・シューズ 』でも使われた詩で、日本でも人気の高い詩です。
ONE ART Elizabeth Bishop
The art of losing isn't hard to master;
so many things seem filled with the intent
to be lost that their loss is no disaster.
Lose something every day. Accept the fluster
of lost door keys, the hour badly spent.
The art of losing isn't hard to master.
Then practice losing farther, losing faster:
places, and names, and where it was you meant
to travel. None of these will bring disaster.
I lost my mother's watch. And look! my last, or
next-to-last, of three loved houses went.
The art of losing isn't hard to master.
I lost two citi es, lovely ones. And, vaster,
some realms I owned, two rivers, a continent.
I miss them, but it wasn't a disaster.
--Even losing you (the joking voice, a gesture
I love) I shan't have lied. It's evident
the art of losing's not too hard to master
though it may look like (Write it!) like disaster.
いくつか翻訳を見ながら思いついたことを書いてみるのですが、
とりあえず自分で訳すとこんな感じでした
「vaster」がなんに対して大きかったのかと、「(Write it!)」をどういう風に日本語に取り込んだらよかったのか結局わかりませんでした。ほかにも2行目から3行目はso〜thatの構文で片付けていいのかも分かりませんでした。多分いいのだけど。
わたしの英語力はそんなもんです。
実際のところ自分で訳していたのは他の訳がどうも。。。だったからです。
いくつかの訳を見てると翻訳が不思議だなということに気づかれました。
岩波文庫の『アメリカ名詩選』だとこういう訳でした
気になったのは、「disaster」と「The art of losing」。
「disaster」は大事というよりも聖書のような「わざわい」に見えました。
「The art of losing」は「ものを失う術」なのでしょうかというとなんか違うような気がしました。というのも「The art of war」が孫子だということです。
「The」がついている以上、やっぱりもう少し普遍的な言葉にしたいと思ってしまいました。
アメリカ名詩選では、最後まで読むと失恋の詩だと気づく、とかいてあるのですが私はそういうようには見えなかったのもひとつの理由です。
土曜美術社出版販売の『エリザベス・ビショップ詩集』ではこんな訳でした。
この中で、むつかしい、の後に続く「技術」「芸当」「業」のすべてには「わざ」という訳語が当てはめられています。
日本語が持つ漢字とひらがなによって二つの見方ができる、という強みがあるかもしれないけど、どうもこの詩はそこまで豪華に形容される詩なのでしょうか。
「広やかに私の王国だった」っていうのはどういうものなのでしょうか。
ということで、こちらは日本語としてきついなあと感じました。
タイトルが「一芸」ならば、芸だよなあともおもいました。
インターネットでも多くの方が訳されています。
Anne's English Cafe(英語教師の出直し英会話)ではこんな訳
こちらは「何かを失くす術」の「術」に「わざ」という読み方を当てています。
他にも
Delicious★Time
や
+ Before Sunrise + Before Sunset +でも訳されている方がいます。
正直こういくつも訳をみていると「lovely ones」のような大勢に影響しない言葉も気になってきます。
私はこの言葉を見たとき、ドブロブニクや函館のようなものを考えていました。一番初めは「かわいい」にしていたのですが、いろんな訳を見ていて「素敵な」に直しました。
柴田元幸さんは優しい単語でも辞書を引くそう。辞書を引くことで、言葉を調べるだけではなく、当てはめる訳語のイメージを作るそうです。
この詩は調べてみるとヴィネラルという詩の形式によって書かれているそう。
「3行からなる連が五つあって、最後に4行からなる連があります。1行目と3行目は何回も繰り返します。」そうなのです。よく見ると韻が正しく踏まれていてこの詩が本当に硬い岩のように見えてきます。
>> 英語の詩の読み方(9)ヴィラネル
Elizabeth Bishopはアメリカの20世紀の詩人です。アメリカの女性詩に大きな足跡を残しています。
彼女が書いた4冊の詩集がどれもアメリカの主要な詩の賞を受賞しています。
彼女自身の朗読がsalon.comで聞くことが出来ます
>> "The Voice of the Poet" Elizabeth Bishop
全詩集とよばれるものも安く手に入ります。
みなさんはこの詩を読んでどう思われましたか?
できたらこの詩の好きな方一人ひとりの訳を見てみたいなあと思います。
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英語の詩は英語で読みたいなと思っています。
日本語があるようならば翻訳を読みます。
ときどき訳しても見ます。
今回出会ったのはアメリカのElizabeth Bishopが書いた失うことについて書かれた詩「One Art」。彼女とは関係なく読んでいた創作の本の中で見つけて心打たれた詩です。
キャメロン・ディアスが出演した『イン・ハー・シューズ 』でも使われた詩で、日本でも人気の高い詩です。
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ONE ART Elizabeth Bishop
The art of losing isn't hard to master;
so many things seem filled with the intent
to be lost that their loss is no disaster.
Lose something every day. Accept the fluster
of lost door keys, the hour badly spent.
The art of losing isn't hard to master.
Then practice losing farther, losing faster:
places, and names, and where it was you meant
to travel. None of these will bring disaster.
I lost my mother's watch. And look! my last, or
next-to-last, of three loved houses went.
The art of losing isn't hard to master.
I lost two citi es, lovely ones. And, vaster,
some realms I owned, two rivers, a continent.
I miss them, but it wasn't a disaster.
--Even losing you (the joking voice, a gesture
I love) I shan't have lied. It's evident
the art of losing's not too hard to master
though it may look like (Write it!) like disaster.
いくつか翻訳を見ながら思いついたことを書いてみるのですが、
とりあえず自分で訳すとこんな感じでした
一つのわざ エリザベス・ビショップ
失うわざを覚えることは難しくありません
あまりに多くのものは失われたがっているように見えるから
失うことはわざわいではない。
日々失いなさい。ドアの鍵をなくしたときのいらだちや
無駄に過ごされた時間を受け入れなさい
失うわざを覚えるのは難しくありません。
そしてもっとひどく、もっと速く失いなさい
場所も名前もあなたの旅の行先も。
それらはすべてわざわいを伴わないでしょう。
私は母の時計を失った。見て!私の愛する三つの家のうち
一番大事なものと二番目が消え去った。
失うわざを覚えることは難しくない。
ふたつの素敵な街を失った。いえ、もっと大きな
私の治めるいくつかの王国、ふたつの河、一つの大陸。
どれも恋しかったけれども、わざわいではなかった。
たとえ貴方(おどけた声も、大好きなしぐさも)を失ったとしても
私はうそをついていないでしょう。本当に
失うわざを覚えることは難しくないのです
(はっきり書こう)たとえそれがわざわいのような様に見えたとしても。
「vaster」がなんに対して大きかったのかと、「(Write it!)」をどういう風に日本語に取り込んだらよかったのか結局わかりませんでした。ほかにも2行目から3行目はso〜thatの構文で片付けていいのかも分かりませんでした。多分いいのだけど。
わたしの英語力はそんなもんです。
実際のところ自分で訳していたのは他の訳がどうも。。。だったからです。
いくつかの訳を見てると翻訳が不思議だなということに気づかれました。
岩波文庫の『アメリカ名詩選』だとこういう訳でした
![]() | アメリカ名詩選 (岩波文庫) (1993/03) 不明 商品詳細を見る |
ひとつの術
ものを失くする術を覚えるのは、難しくない。
もともと失くされようという魂胆が見え見えで、
失くしたところで大事に至らないものも、ごまんとある。
毎日何かを失くすること。ドアの鍵を失くした狼狽や、
むだ遣いした一時間を、受け入れること。
ものを失くする術を覚えるのは、難しくない。
それからもっとひどく、もっと速く失くする稽古をしよう。
場所や、名前や、どこか旅行に行くつもりだったところなど。
どれも大事に至ることはない。
私は母の時計を失くした。そして、ほら、好きだった三つの家の最後の一つ、
それとも最後から二つ目のも消え去った。
ものを失くする術を覚えるのは、難しくない。
私は二つの都市、綺麗なのをなくした。そしてもっと
大がかりに、持っていたいくつかの王国、河二つ、大陸一つを。
どれも恋しいが、大事に至りはしなかった。
−あなたを失くした時でさえ(冗談を言う声や、大好きなしぐさなど)、その事情に変わりはないだろう。
どう見ても、ものを失くする術を覚えるのは、そんなに難しくない−
たとえどれ程の(はっきり書こう!)大事に見えようとも。
気になったのは、「disaster」と「The art of losing」。
「disaster」は大事というよりも聖書のような「わざわい」に見えました。
「The art of losing」は「ものを失う術」なのでしょうかというとなんか違うような気がしました。というのも「The art of war」が孫子だということです。
「The」がついている以上、やっぱりもう少し普遍的な言葉にしたいと思ってしまいました。
アメリカ名詩選では、最後まで読むと失恋の詩だと気づく、とかいてあるのですが私はそういうようには見えなかったのもひとつの理由です。
土曜美術社出版販売の『エリザベス・ビショップ詩集』ではこんな訳でした。
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一芸
失うということは むつかしいわざじゃない。
多くのものには失われる意図が備わっているから
失うことは わざわいじゃない
毎日何かをなくすこと。ドアの鍵がない
という狼狽や 無にした時間を受け入れること
失うということは むつかしい技術じゃない
つぎには 早く 深く なくす練習をつむこと。
場所や 名前や 旅するつもりだった
土地など どれを失っても わざわいは来ない
私は母の時計を喪した。それに見て!三の我が家の
最後の、否 最後から二つ目の家もなくなった
失うということは むつかしい芸当じゃない
私は美しい街を二つなくした。稲 もっとなくした、
広やかに私の王国だった 二つの河 ひとつの大陸。
なつかしいわ、だけれども わざわいは来なかった
―あなたをなくしてもなお(朗らかな声、いとしい
仕草)私は嘘をついたことにならない。明らかだもの、
失うということは さして、むつかしい業じゃない
そのわざが(書てみて!)わざわいに似て見えても
この中で、むつかしい、の後に続く「技術」「芸当」「業」のすべてには「わざ」という訳語が当てはめられています。
日本語が持つ漢字とひらがなによって二つの見方ができる、という強みがあるかもしれないけど、どうもこの詩はそこまで豪華に形容される詩なのでしょうか。
「広やかに私の王国だった」っていうのはどういうものなのでしょうか。
ということで、こちらは日本語としてきついなあと感じました。
タイトルが「一芸」ならば、芸だよなあともおもいました。
インターネットでも多くの方が訳されています。
Anne's English Cafe(英語教師の出直し英会話)ではこんな訳
ひとつの術
何かを失くす術を身につけるのは難しいことではない。
多くのものは初めから失くされることがあるという隠された意図に満ち溢れているように思える。
だから失くしたからと言って大騒ぎすることはない。
毎日何かを失くしてみよう。ドアの鍵をなくして大慌てしたり、
むなしく費やした時間を受け入れてみよう。
何かを失くす術を身につけることは難しいことではないのだから。
それからもっとひどく失くしたり、もっと速く失くす練習をしてみよう。
場所や名前やどこに旅立つつもりだったのかということまでも。
こういったことの記憶を失くしても大きな不幸が襲ってくるわけではない。
私は母の時計をなくした。それからたとえば、大好きだった3軒の家の最後の一つか
最後から二つ目の家も手放した。
何かを失くす術を身につけることは難しいことではない。
私は二つの街、素敵な街を失くした。そして自分が持っていたもっと広大な領域、
二つの川、一つの大陸も失くした。
どれも寂しい気持ちはあるが、大騒ぎするようなことではなかった。
―あなたを失う時でさえ(冗談を言う声や、私の大好きなしぐさが見られないとしても)
嘘をついていることにはならない。多分平気だろう。
何かを失くす術を身につけることが難しい事ではないということは明白だ。
(はっきりと書いておこう!)とっても不幸なことのように見えるかもしれないけれども。
こちらは「何かを失くす術」の「術」に「わざ」という読み方を当てています。
他にも
Delicious★Time
や
+ Before Sunrise + Before Sunset +でも訳されている方がいます。
正直こういくつも訳をみていると「lovely ones」のような大勢に影響しない言葉も気になってきます。
私はこの言葉を見たとき、ドブロブニクや函館のようなものを考えていました。一番初めは「かわいい」にしていたのですが、いろんな訳を見ていて「素敵な」に直しました。
柴田元幸さんは優しい単語でも辞書を引くそう。辞書を引くことで、言葉を調べるだけではなく、当てはめる訳語のイメージを作るそうです。
この詩は調べてみるとヴィネラルという詩の形式によって書かれているそう。
「3行からなる連が五つあって、最後に4行からなる連があります。1行目と3行目は何回も繰り返します。」そうなのです。よく見ると韻が正しく踏まれていてこの詩が本当に硬い岩のように見えてきます。
>> 英語の詩の読み方(9)ヴィラネル
Elizabeth Bishopはアメリカの20世紀の詩人です。アメリカの女性詩に大きな足跡を残しています。
彼女が書いた4冊の詩集がどれもアメリカの主要な詩の賞を受賞しています。
彼女自身の朗読がsalon.comで聞くことが出来ます
>> "The Voice of the Poet" Elizabeth Bishop
全詩集とよばれるものも安く手に入ります。
![]() | The Complete Poems, 1927-1979 (1984/04) Elizabeth Bishop 商品詳細を見る |
みなさんはこの詩を読んでどう思われましたか?
できたらこの詩の好きな方一人ひとりの訳を見てみたいなあと思います。
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タグ : 翻訳 Elizabeth Bishop エリザベス・ビショップ
コメント
もしアドリエンヌ リッチーの詩(たくさんの本が出版されているけれどほとんど翻訳されていない)をご存じでしたら翻訳してください。
Re: タイトルなし
ありがとうございます
Adrienne Richの作品は私も好きです。
いつか翻訳したいとおもってます。
白石かずこさんの訳詩は読まれましたか?
リンクから飛べますが、とてもいい作品です。
また、彼女は録音もインターネットで聞けるので、
いつかそれも取り上げたいとおもっています。
> もしアドリエンヌ リッチーの詩(たくさんの本が出版されているけれどほとんど翻訳されていない)をご存じでしたら翻訳してください。
Adrienne Richの作品は私も好きです。
いつか翻訳したいとおもってます。
白石かずこさんの訳詩は読まれましたか?
リンクから飛べますが、とてもいい作品です。
また、彼女は録音もインターネットで聞けるので、
いつかそれも取り上げたいとおもっています。
> もしアドリエンヌ リッチーの詩(たくさんの本が出版されているけれどほとんど翻訳されていない)をご存じでしたら翻訳してください。
私もアドリエンリッチーが好きです。最近の詩を翻訳してください。アドリエンヌリッチーが紹介してたジュディー・ジョーダンの詩もよかったです。
白石かずこさん訳のリッチの詩集を買いました。とてもよかったです。「Telephone ringing〜」「Fox]等数冊買ったけれど翻訳はお手上げ状態です/(-_-)\
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