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『中国の不思議な役人』はとても素晴らしいお芝居です 

2009.09.26 この記事をクリップ! このエントリーをはてなブックマークに追加

中国の不思議な役人


始めてみた平幹二朗さんの風格は、威厳とはどういうものかを考えさせてくれるほどのものでした

今日は渋谷のPARCO劇場に『中国の不思議な役人』を見に行きました。
バルトークの曲名を題に持つこのお芝居は寺山修司の作品。
演出の白井晃さんは、昨年、ミラン・クンデラの『ジャックとその主人』を見たときから好きな演出家さんです。
今年は串田正美さんとシェイクスピアの『ヘンリー四世』を作っています。

蜷川さんの演出によるシェイクスピアでおなじみの平幹二朗さんは始めての寺山作品。
しかも『中国の不思議な役人』は寺山自身による演出以来32年ぶりの上演だそう。
シェイクスピアを題材にした二人が寺山を作るという異種格闘技戦は一つ一つが興奮でした。

感想をつらつら書いていきたいと思います


『中国の不思議な役人』は、殺されても死なない役人が花姚(がちょう)という娼婦に仕立て上げられた少女に出会って本当の愛を知り、死んでしまうというお話が軸になっています。

このおとぎ話に、戦中の中国情勢や川島芳子のような女性、そして『蒼天の拳』を思わせるような阿片はびこる中国の売春宿といったアングラな舞台が絡んで私たちの思う寺山修司の舞台になっています。

今回の舞台で驚かされたことの一つ目は一場面一場面の情報量の多さでした。

中国の路地裏の売春窟を表すのに娼婦が7人くらいいるのです。そしてその一人ひとりの書き分けが豊かなのです。とりあえず髪の毛だけでも結構多いのです。一人は髪がお人形。町中の本から「私」を切り取った女の人は紙が逆立ち、走り回る女性は一つお団子の髪を長くたらしています(多分初音映莉子さんだと思うけどとにかくきれい)。
歌を歌う女性のふくよかさはおそらく『蒼天航路』ででてくる袁紹のお母さんを思ったのですが、どうして彼女がメインで歌を歌うのかうまく掴むことができませんでした。

中国を思わせる道具立ても、人が乗る乳母車もあれば、ジャンクを思わせるとてもくたびれた茶色をした扇を載せた車。そしてベッド。

動きもゆっくり歩いている場面のほうが長い分だけ動きが早くなる場面とのメリハリが強く印象に残り、しかも場面転換もとてもすばやく行われたため、100分のお芝居があっという間に過ぎました。
早くなる場面の遠い稽古がYoutubeにありました。よかったらご覧ください。






平幹二朗さんの威厳

さきほどから延々と舞台の素晴らしさについて書いていたのですが、このお芝居で一番印象に残るのはやはり役人を演じた平幹二朗さんでした。
入場の時点で、他の役者と違う威厳をかもしだしているのです。

あまり舞台を見ていないので、映画の『オペラ座の怪人』を引き合いに出して説明したいと思います。『オペラ座の怪人』の中で怪人はクリスティーヌと声を重ねながら、いっきょく歌い、笑い声を上げます。その間カメラはぐるぐると回っています。
これほどまでにして出している怪人の異様さと同じくらいの第一印象を平幹二朗さんは

段の上から一回笑い声を上げる

だけで実現しています。この入場をみるだけでもお金払う価値があります。
でももっとすごいのは、平さんのせりふ回しでした。

先ほどあげたように、この役人は愛を知ることによって死んでしまいます。

この愛を知る場面がとてもいいのです。
『中国の不思議な役人』は本として出版されているので本になっているのでネタばれを躊躇せず紹介させていただきます。

殺しても死なない役人を殺すために鋸を使って真っ二つにするという手段が使われます。
このときの役人のせりふがいいのです

鋸では身体は切れても命は切れん


そして、翌日も来るから今は近づかないように、と兄の麦につかまった花姚に語りかけます。そのとき不自由そうに身体を持ち上げる役人に花姚は「好き!」といいます。

このときの平さんのセリフと花姚のセリフはまったく違う言葉を話しているのにきっちりと一つの和音を作っています。セリフというよりも音楽を聴いているような錯覚になります。そして、この和音の一番初めの音が平さんからおきているのです。
数多く芝居を見ているわけではないのですが、平さんのように聞こえるセリフは初めてで、しかも一瞬でほれてしまう質のものでした。

自分のセリフによって自然に次のセリフを引き込んでしまう。しかも次のセリフが始めて聞こえたセリフに聞こえ、その上で前のセリフとハーモニーを作るという離れ業はどのようにしたらできるのだろう。
私は考えることすらできずに見たことのない会話を見て黙り込むばかりでした。

本当にすごいお芝居で、すばらしかったです。

ぴあのページに、白井晃さんと平幹二朗さん、花姚役の夏未エレナさんのインタビューがあります。夏未さんは15歳なんだって。そんな若い時期にこんなすごい舞台に立てるなんてうらやましい。

>> @ぴあインタビュー 白井晃 X 平幹二朗 X 夏未エレナ

10月4日までの公演なのでぜひお時間があったら見に行ってください。

CDは今回の公演のために三宅純さんが書き下ろしたサウンドトラック。
娼婦たちによる合唱がとてもアンビエント。

オリジナル・サウンドトラック 「中国の不思議な役人」オリジナル・サウンドトラック 「中国の不思議な役人」
(2009/10/21)
三宅純

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タグ : 中国の不思議な役人 演劇 白井晃 平幹二朗 三宅純

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