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『ことばを深呼吸』が考えさせてくれる「ことばってなに?」 

2009.10.20 この記事をクリップ! このエントリーをはてなブックマークに追加

ことばを深呼吸ことばを深呼吸
(2009/05/16)
川口 晴美渡邊 十絲子

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ことばを深呼吸』は川口晴美さんと渡邊十絲子さんという二人の女性の詩人によって書かれた創作のワークショップの手引き書です。
それ以上に人にかき方を教えることを通じて自分にとっての言葉を考えさせてくれる本です。

ワークショップのアイデアと進行の様子。ワークショップを開催するに当たってのお二人の言葉について考えていらっしゃることがかかれています。
この本で紹介されているアイデアは、大きく分けるとこの六つ。

  • 好きなものやことを並べてみる

  • 詩にタイトルをつけてみる

  • はやし言葉で遊ぶ

  • 一つの詩の言葉を並べ替える

  • 街中をよく観察する

  • 言葉を繰り返してみる


どれも楽しいのですが、一番印象深いのはワークショップのすすめかたでした。


「ことば」に触れるってことは「ことば」について考えること。



『ことばを深呼吸』で紹介されているワークショップのやり方は

教える→試す→考える

という三つの構成でできています。一番大切なのは考えることです。
できあがった「ことば」がどんなイメージを持つ言葉かを川口さん・渡邊さんやワークショップに参加した皆さんと考えること。

私自身が毎月一度の創作のワークショップを主催しているからでしたが、彼女のワークショップとはまったく形式が違っていて勉強させられることがたくさんありました。

私のワークショップは線を引いたり星座を書いたりとことばのタネを作ることに重点を置いています。私も創作に参加して、書くことを通じてコミュニケーションします。

これに対して川口さんたちのワークショップでは、さまざまなワークで出てきた言葉に対してコーチングをしているイメージがあります。

たとえばタイトルをつけるワークショップがあります。

詩のタイトルをみんなで付け合い、そしてなぜつけたかを問います。
この詩にタイトルをつけてください。(オリジナルのタイトルはこの日記の最後にあります。)



てふてふが一匹韃靼海峡を渡つて行つた。




つけられましたか?
一人でやるとなんでもないこの詩に小学生は「旅」と名づけました。40代の男性は「望郷」と名づけます。「伝令」「出撃」「波間に」・・・たった一行の詩の持つたくさんのイメージ。その一つひとつのイメージを認めることでこの一行の詩だけではなく参加している方の『ことば』のイメージが膨らみます。

こういうワークショップは先生のように頼りがいがないとできないなと思うと、私は胸が痛くなります。

詩を通じたコミュニケーションについて、『ことばを深呼吸』のなかに書かれていた興味深い部分を引用してみます。
 作品として言葉を存在させると、なぜいいのでしょう。手渡される側の立場で想像すると、わかるのではないでしょうか。誰かから、直接的な言葉あるいは手紙として、日常を少し踏み越えた感情や思いをなげかけられたとき、それが好ましいものや理解できる内容であれば、わたしたちはうれしく思いつつ受けとめて、気持ちを返すことができます。ですが、相手の思いが十分には理解できなかったり、重いと感じてしまったり、どう返せばいいかわからなくなる場合もありますよね。

 そういうとき、言葉が「作品」になっていれば、どう反応すればいいのかわからないむきだしの気持ちではなく、ラッピングされたひとつのものに近い存在として受け取れるのです。そうなると反応しやすい。

「作品」にはどう反応を返すのも自由です。「目のつけどころがユニークだね」「この表現がきれいだった」、あるいは「よくわからないけど、これをかけるってすごいと思う」「なんだかつまらない、あなたならもっとおもしろく書けそうなのに」でもいい。コミュニケーションが成立します。そして、たとえ内容が理解できなくても、この人はこんなふうに書きたい気持ちを持っているのだなあと、読み手のなかでその人がくっきり存在し始めます。


「ことば」は「作品」になると生の人から離れます。
その「ことば」新しい生き物として生きると同時に時には生の人の心をもっています。
詩が「作品」として成り立つために必要なのは、きれいな言葉であることではありません。

「ことば」が「作品」として提示されていること。そして、作った人が「作品」に対して言われる言葉を受け入れること。それだけだとお二人はお話されているような気がします。



じっさいにためしてみる



この本の面白さを紹介するには、この本のやり方を試してみるのが一番です。

第3章の「コーヒーブレイク」での言葉遊びを試してみます。
ここで出ているアイデアははやしことばで遊ぶこと。

使っているはやしことばはこちらです。

○っちゃん○がつく
○り屋の○ん助
○って○られて
○り殺された
○り○りパンツに穴あいた


○の部分には誰かのなまえの頭文字を入れます。

たとえば、僕だときっとこんな感じ。

まっちゃんまがつく
まり屋のまん助
まってまられて
まり殺された
まりまりパンツに穴あいた


ここから川口さんは「まり殺される」とはどんな感じなのか、「まり屋にいるまん助」ってどんな感じなのかと会話によってワークショップを拡げていきます。

穴があいちゃうような「まりまりパンツ」ってどんな感じなんでしょうか。
うん○がたくさんつまっているんでしょうか。それともつぎはぎの糸が解けそうなのでしょうか。
「まってまられる」ってなんでしょうか。まつのはいいけど、「まられる」の「まら」っていうのは・・・・。しかも「まん助」だなんて・・・。せめて「まん坊」だったら魚だったのになあ。

ということで私は廊下に立たされてしまいましたとさ。


いっしょにゆるギブをやっているぼすとん.さん(@bostonTP)の名前がめずらしいので使ってみるとこんな感じです。

ぼっちゃんぼがつく
ぼり屋のぼん助
ぼってぼられて
ぼりころされた
ぼりぼりパンツに穴あいた


「ぼってぼられて/ぼりころされた」なんてあきんどですね。

「ぼり屋」はたぶん釣堀ではないでしょうね。詐欺師?ではなさそうです。きちんとものは売っているから。早口で何度も唱えてみると「えびふりゃー」にもみえてきます。
いくらぼることができても、名前がぼん助だと下っ端のようにも見えます。「ぼん助」よりも「ぼん坊」のほうが楽しそう。「ぼり屋のぼんぼり」
一勝一敗しているうちに悪い男に引っかかったのでしょうか。

ぼん助くんちょっとかわいそうだからもう少しことばの力で手助けをしてあげたいけれど、一応お題に忠実にいってみます。
良かったら皆さんもご自身の名前や他の方の名前でチャレンジしてみてください。

ここでも一番大切なのは、うたってみることだけじゃなくて、

できてしまった言葉について考えてみること。いままでにない言葉であっても、どんなリズムで、どんなことをしてそうな言葉かを考えるときっと楽しいです。

もちろん、ぼすとん.さんのブログもよろしくお願いします。
>> ぼすとん.さんのブログ『mynkntp:真夜中のTeaParty!!』




著者について



川口晴美さんは福井県出身の詩人です。80年代から詩を書きつがれ、セゾン現代美術館での『Art Today 1994』への参加など、本の外でも活動をされている詩人です。

昨日紹介した河津聖恵さんといっしょにフランス堂のブログ『詩のテラス』に寄稿していらっしゃいます。
>> 詩のテラス

>> 「空の庭」川口晴美  ショックだった詩 (aoiuem's Blog)

>> 白鳥信也さんによるエッセイ 川口晴美は、ひどく乾いた場所を生きている

渡邊十絲子さんは東京都出身の詩人です。彼女も80年代から詩を書きつがれていらっしゃいます。

>> 現代詩人の“生態”をつづって話題 渡邊十絲子さんに聞く

>> 渡邊十絲子の「詩人の悪だくみ~第2レース~」
(URLの数字を変えると前のエッセイが読めます)



いっしょに読んでほしいエントリー



>> めざまし読書会 Hyperで、川口晴美『やわらかい檻』を読む

>> 11回目の『書くワークショップ』では初めて参加される方の発想に驚かされました。

>> こころを一生懸命たたいてくれる詩集 河津聖恵 『神は外せないイヤホンを』



次回ワークショップのお知らせ




次回の私が主催するワークショップ『書くワークショップ』は
11月21日(土)の14時から行います。
場所は千石にあるアートスペース千石空房です。

川口さんのワークショップとは違い、ひたすら手を動かすようなワークになります。

よかったら、毎回のワークショップのレポートをご覧ください。
>> レポート

ご興味をもってくださった方は
お申し込みフォームよりお問い合わせください

>> お申し込みフォーム




最後に
てふてふが一匹韃靼海峡を渡つて行つた。

は北川冬彦の『春』という詩でした。

>> 今週の詩 安西冬衛、北川冬彦

日本の詩歌 25 (中公文庫 H 2-25)日本の詩歌 25 (中公文庫 H 2-25)
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北川 冬彦

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