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湖のように豊かな、浦歌無子さんの詩集 『耳の中の湖』 

2009.11.12 この記事をクリップ! このエントリーをはてなブックマークに追加

湖のように豊かな、浦歌無子さんの詩集 『耳の中の湖』

浦歌無子 耳のなかの湖
送信者 献本


浦歌無子さんの詩集、『耳のなかの湖』はそのタイトルのとおり、湖のような詩集です。

花や金魚や骨といった普段見かけない言葉の連続。姉妹のモチーフなど、たくさんの情報がひとつひとつの詩に詰め込まれ、ひとつひとつの詩がまるでおとぎばなしのよう。

全部で19編、久世光彦さんの小説が好きなら間違いなくお勧めできます。

詩の長さが60行以上と長いので、浦さんの世界を長い間楽しめるところもいいところです。

たとえば『蛇口から白い小鳥』という詩はどこの部分をとってもおいしい詩です。
中盤を引用します。

鈴蘭 芍薬 クレマチス オダマキ 蔓薔薇 ミヤコワスレ
露草 睡蓮 ツボサンゴ アヤメ 雛罌粟 タチアオイ
梔子 サルビア リアトリス ベロニカ ランタナ マリーゴールド
ぜんぶぜんぶ摘んで妹のために花かんむりを作ったのに
妹はどこにも見当たらないから
摘むたびに小鳥の骨が折れるような音がするそれらを
口に含み舌で愛撫し呑み込むけれど
どれもこれも違う味がしてちっとも満たされないから
小鳥のお墓をいくつもいくつも掘り返す
ぽこぽこと庭に穴を掘って
いくつものいくつもの小鳥のお墓を掘り返して
小鳥の白い骨を口に詰めこんだ
口のなかでからから鳴る音がやっぱりおかしくておかしくて
走り回っているうちに深い深い穴に落ちて
それ以来眠ることができないのです
(わたしは妹をオルゴールのように鳴らしたかった
言葉を失った妹をオルゴールのように鳴らしたかった)


○並んでいく野の花の名前。

○「小鳥の骨が折れるような音がする」花びら

○掘り返される「小鳥のお墓」

○死んだ小鳥の骨をかじる猟奇的な口。

○口から鳴る音

○おかしくて走り回る語り手

というように、子の引用の最後の「(わたしは妹をオルゴールのように鳴らしたかった/言葉を失った妹をオルゴールのように鳴らしたかった)」まで、一つひとつの名詞にこの詩でしか使えないような存在感が与えられています。
そして、存在感を与えられた言葉が自分の力で走り出しています。




ほかにも私が好きなのは『それは雨ではなくて』

『蛇口から白い小鳥』では花の名前が繰り返されていたのに対し、この詩で繰り返されるのは金魚の名前。

どこかの蛇口から水がこぼれていて
それは雨ではなくて
あなたの手はふるえていてうまく火がつけられなくて
ライターを何度もかちかちと言わせていて
わたしは反対にからだのあちこちでその都度場所を変えながら
勝手に生まれる火種をどうやって消したらいいかわからなくて
猩々 素赤 赤更紗 白更紗 キャリコ 丹頂 小窓 六鱗
どこかの蛇口から水があふれていて
それは雨ではなくて
「明日は晴れるかなあ」ってあなたはかすれた声でつぶやいて
わたしはあなたの間にお互いの深い深い沼に届く会話はひとつもなくて
だからこそあなたを掴んでいる右手を話すことが出来なくて
話せないから何をするにも左手しか使えなくて


「~~て」という継続の助詞「て」によってリズムを整えられた最後が印象的な部分を引用しました。

蛇口からこぼれている水が「雨ではなくて」という当然の事実と「あなたの手はふるえていてうまく火がつけられなくて」という「あなた」の動作がぶつかっています。
さらに、「あなた」が鳴らすライターの音で「わたし」についた火種の次の行、
「猩々」ではじまる8種類の違う金魚の名前は、その金魚の赤や黒を思い浮かべることによって、水の中にいるはずなのに本当に火花に見えてくるから不思議です。

浦歌無子さんの詩は本当にたくさんのイメージがこめられていて、一行一行で深読みさせてくれます。

そして深読みなんかしなくても、一つひとつの単語が、どういうものかなと思い浮かべるだけで、遠い世界に連れて行ってくれます。

いい詩集です。そしていい詩人です。



この詩集もおすすめです



>> 心が運動している詩集 藤井わらび『むらさきの海』

>> こころを一生懸命たたいてくれる詩集 河津聖恵 『神は外せないイヤホンを』


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