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たくさんの語り手が世界の大切さを教えてくれる詩集 覚和歌子『海のような大人になる』 

2009.11.15 この記事をクリップ! このエントリーをはてなブックマークに追加

海のような大人になる―覚和歌子詩集 (詩の風景)海のような大人になる―覚和歌子詩集 (詩の風景)
(2007/04)
覚 和歌子

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覚和歌子さんの詩集、『海のような大人になる』は、たくさんの語り手によって詩のありかを教えてくれる詩集です。


誰がこの詩を語っているのだろう、と考えると一人ひとりの顔やしぐさが浮かんでくるよう。

覚和歌子さんはいわずとしれた『千と千尋の神かくし』の主題歌『いつも何度でも』の作詞をされている方。
大学にいたころから沢田研二さんの作詞などを手がけていて、ご自身もステージにたたれるそう。


一番初めに取り上げるのは『夕焼けパレード』。
この詩は谷川賢作さんによって曲がつけられています。

夕焼けパレード



茜色の夕焼けが
近づく時刻の
町はパレード

終わりの前の 月星は
遠く吠える
犬の声も 連れてく

早く早く
お帰りと
闇が線路に伸びる

きっときっと
あしたは
また必ず来ると
知ってても

忘れられた 自転車
夜の永遠に
半分溶けた

今日一日を 抱えたら
明かりの点く家は
もうすぐそこ

やっと
ただいま


この詩を語っている人はどんな人でしょう。
子供でしょうか。大人でしょうか。
男性でしょうか、女性でしょうか。

男の子が遊び終えて帰るころかもしれません。
一人暮らしの女性が仕事を終えて帰るところかもしれません。
いずれにしろ、私には一人でいる時間をきちんと知っていて大切にできる人のように見えます。

実は、こういう風に語り手が見えるということはとてもすごいことなのです。
少なくとも、私の書いているものでは、私のような姿が語っているようにしか見えないでしょう。
でも、この詩では誰かは示されていないけど、どうも作者のような人とは違う語り手が作られて、そして語っているように見えます。

少なくとも、誰がこの詩を語るのかということについて、彼女はとても意識的です。

私はいままで自分で語る詩しかかいていなかったので、彼女の詩をきちんと読んだとき自分に足りない視点を強く感じました。



わたしが特に好きな『市場』という詩は、目の見えない少年が語り手になっている詩です。

少年に水の音を聞かせることで、少年に海のイメージを見せてあげた魚屋の大将の心意気を冒頭に置いたこの詩では、少年の意識は非常に強いものがあります。

みんなの瞳があたりまえに映している
七里ガ浜や真鶴岬を
ぼくの瞳では 楽しむことができません
そのかわり
大将がくれた海は
ぼくにしか見えない海ですが
海という言葉をたよりに
ぼくは そんなふうに
世界とつながっていきたい
どうか それを
ぼくの強さにさせてください
誰かの助けなしに暮らしていくことが
とうてい できない自分を
自分で許してあげることにしたから
もう そのことを恥じるのはやめたのです
ぼくを かばわないでください
ぼくを 見ていてください


「誰かの助けなしに暮らしていくことが/とうてい できない自分を/自分で許してあげること」で、新しい世界への通路を開く少年の姿。
健常な人こそが持っていたいイメージを、ハンディを持った少年が語ることで、この詩はとても印象深くなっています。


『世界は音』という詩では、耳という音をうけとる部分の不思議さが語られます。

閉じない、語らない、記憶しない。ただひらいて音を受け取るだけの耳がじつは「ただそこにあることで 過不足なく足りてい」て、

やわらかな鼓膜は 使いこまれた管楽器
いつも中心がどこかをつきとめる
こまかくふるえながら 自分しか出せない音が調律されていく
許しながら 受け入れながら
耳は世界に向けて 放射する
すべてを吸いこむかたちは
そのまま 遠いかなたへ向けてほどかれるかたち


と語られるとき、耳は本当にうつくしくなります。


収録されている詩は43編。
彼女の簡単な言葉で見えやすく語られたイメージを思い浮かべると、今自分が触れているもののひとつひとつがとても大切に思えてきます。

少年少女むけに描かれたということになっていますが、大人が読んでも考えさせてくれる詩集です。


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