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『62のソネット』のような詩を書きたい 

2009.11.27 この記事をクリップ! このエントリーをはてなブックマークに追加

62のソネット+36 (集英社文庫)62のソネット+36 (集英社文庫)
(2009/07/16)
谷川 俊太郎

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谷川俊太郎さんの第2詩集『62のソネット』は私にとって数少ない詩の教科書です。

その題名のように14行の詩の形式「ソネット」で作られたこの詩集は、谷川さんがまだ22才のときに出版され、何度か別の出版社から発売され、50年以上たって今年また集英社文庫から出版されたロングセラーの詩集です。
そのタイトルのとおり、62編でできた詩集です。

出てくる言葉は、生、おびえる、影、朝、神といった抽象的な言葉です。デビュー作の『二十億光年の孤独』よりもさらに谷川さんの心に近いところで鳴っているような気がする、みずみずしい詩集です。

この詩集で私が一番好きなのは、その一つひとつの詩の始まりです。
たとえば一番初めの詩『木陰』の一番初めの一節。これを読むと私はいつも心が躍ります。

紹介させていただきます。4行です。

とまれ喜びが今日に住む
若い陽の心のままに
食卓や銃や
神さえも知らぬ間に


特に一行目の「とまれ喜びが今日に住む」という部分を一息で読み、二行目を読む前に少し間を置くことがポイントです。
この少しの間が詩の楽しさを教えてくれます。
一行目を私が好きな理由はその音にあります。
「住む」以外のすべての単語がオで終わる音で始まっていることがポイントです。
口を前につきだして「とまれ」の一番初めの音を出してみると、「と」によって前に突き出された息が後に続く「まれ」で声が上下に広がるのを感じます。

「喜び」「今日に」ではさらにオを使って息が前に出て行きます。「び」と「に」というオで終わらない音がイで終わる音で作られていることもポイントです。
オによって前につきだされた音は口を横に広げるイで終わる音でさらに横へと広がるのです。

前につきだされた息が「とまれ」で上下に、「喜び」「今日に」で横へ横へと広がって息が三次元の空間を持ちます。そして、一番最後「住む」という二つのウで終わる音で締められます。
オで終わる音よりももっと口を突き出さなければ発音できない「住む」は大河のような息をせき止めて次の行へとつなぎます。この次の行へとつなぐ間は、私に次の行への期待をいだかせてくれます。何度読んでも。

今二行目を見てはじめて気づいたのですが、「心」という言葉がすべてオで終わる音でできているのはとても不思議です。
「こ」という叩く音を二回鳴らし、「ろ」という音で語尾だけではなく舌を文字通り「ころ」がしています。心は前に転がるものなのだと今私ははじめて気づきました。

そういう気づきもこうやってブログの記事を書いているからです本当にありがとう。




今年新しく集英社文庫で出たのは、『62のソネット』と同時期に書かれ詩集に入らなかった36編の新しい詩がはいっているからだそう。その36編について触れたいのは山々ですが、

好きな詩の多いこの詩集の中でわたしが特に好きなのは『11 沈黙』

11 沈黙

沈黙が名づけ
しかし心がすべてを迎えてなおも満たぬとき
私はしられぬことを畏れ――
ふとおびえた

失われた声の後にどんな言葉があるだろう
かなしみの先にどんな心が
生きることと死ぬことの間にどんな健康が
私は神――と呟きかけてそれをやめた

常に私が喋らねばならぬ
私について世界について
無知なるものと知りながら

もはや声なくもはや言葉なく
呟きも歌もしわぶきもなく しかし
私が――すべてを喋らねばならぬ


第3連から繰り返される「常に私が喋らねばならぬ」「喋らねばならぬ」という決意を強くするのが「畏れ」であり「おびえ」という逆方向の力でることは人間の持つ力としてとても不思議なことです。

『62のソネット』で出てくる言葉は本当にとてもわかりやすく抽象的な言葉が多いのです。
「無知」って何、「沈黙」って何と聞かれたとき、私たちは何を答えるのでしょう。そしてその答えが本当に「無知」や「沈黙」を語っていると思えるのでしょうか。

この詩集の言葉の選択は、私たちの一つひとつの概念に対して持っているあやふやさによって言葉と言葉のすきまを埋めているように感じます。私たちの行動に対する問いを常に発しています。

この詩集が今も新しく感じるのは、主題にまっすぐに切り込む力といくつかの決意、そしてこの世界に生きることへの疑い、一遍一篇の詩に書かれているからです。

そして、この三つがあるから、『62のソネット』はいつの時代でも人間がかわらず持っている行動を伴った若さをこの詩集はいつも語ってくれるのだと思います。私もそういう書き手になれればいいと思っています。




この本を読んでくださったら見て欲しいエントリー



谷川俊太郎さんの書いた茨木のり子さんの追悼詩

厳しさがそのままきれいな言葉になった詩集 征矢泰子詩集


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