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吉行理恵さんの詩にとても驚かされてしまいました。 

2009.12.09 この記事をクリップ! このエントリーをはてなブックマークに追加

吉行理恵詩集吉行理恵詩集
(1997/11)
吉行 理恵

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今回初めて吉行理恵さんの詩集を読みました。
驚かされました。

猫の小説で芥川賞を取った人で、作家の吉行淳之介、女優の吉行栄子の妹、吉行あぐりの娘としか知りませんでしたが、彼女の詩はものすごいものだとおもいました。

「ですます」調で書かれた詩の中に秘められているとても硬質な描写と、生きることの延長のように描かれている死がとても印象に残りました。

はじめに一編、題名なしで紹介します。
よかったら題名を考えてみてください。


月は街を見詰めます

硝子窓の向こうの月は
こわばった顔の中の眼です

柱時計をたたえているのは柱時計
鋲のように 頭に鳥をとまらせて
道化は 肘掛け椅子につかまっています

綱渡りをしてみせるために
一本、道化は街に綱を張ります



題名思いつきましたか?もちろんなんでもいいです。


この詩に吉行さんは『星は瞬かない』という題をつけています。

街に綱を張る「道化」の描写がほとんどを占める詩です。
月以外の星は出てきません。
そして月は一般的に星、とは言いません。


この詩から受けた私のイメージは、切り絵のようなイメージでした。
大きな月が浮かぶ夜、狭い路地で、道化師が家から家に綱を張っている光景です。
とても平面的な絵で、そこには星のような小さなものが入る場所はありません。だから『星は瞬かない』。そんな風に私は思いました。

私は「一本、道化は街に綱を張ります」という一番最後の行を読んだあと、もう一度題名を見ました。何度も考えさせられ、そしてこの詩が好きになりました。
皆さんはどんなイメージを持ってこの詩をごらんになるでしょうか。




吉行さんの詩を描写以上に印象深くしたのはその死をみつめる距離でした。

梨の花の揺れた時


隣の小さな男の子は
藁のはみ出た人形を紐で背負い
梨の木をのぼっていったのでした

いちばん綺麗な空の色のリボンを結んで
白い花の揺れるのを
不思議な思いで眺めながら
私は葉ずれに答えました

その小枝に腰かけて
隣の小さな男の子は
私に笑いかけました

藁のはみ出た人形を紐で背負い
梨の木をのぼっていったのでした

隣の小さな男の子は
死ぬつもりだったのでしょう


「藁をはみ出た人形を紐で背負い/梨の木をのぼっていった」少年を見る語り手が何を考えているかはわかりません。まるで『嵐が丘』のキャサリンのように見ているだけ。

この詩では直接「死ぬつもりだったのでしょう」と書かれているのですが、特にそういうふうに書かれていない詩でも、ひとつひとつの詩に失うものや去るものに対する強い志向が見てとれます。

読んでいるうちにエミリー・ディキンソンのように思わされ、征矢泰子さんの詩と同じく、日本語で読めることに感謝しました。




晶文社からでている『吉行理恵詩集』には、彼女のデビュー詩集『青い部屋』を含む3つの詩集の88編の詩を2編のエッセイが収められています。

ひとつひとつの章が結びついて連作のようになっています。
また、24編ある4行でできた詩も一つ一つが印象的です。




薔薇と指切りをして
瑠璃色の翅を引掻いてしまったから
夜風は嘆いているので
私を誘惑しないのです


この詩も一つも鎖がないのです。
それどころか、どこにも鎖を思わせる言葉も比ゆもありません。
よかったら、この詩のどこが鎖なのか、考えてみてください。

吉行理恵さんの詩は限られた言葉から水から鳥が飛び立つような素早い描写にあふれています。

よかったら読んでみて。
正直お兄さんよりおすすめです。



この本を読んでくださったら見て欲しいエントリー



厳しさがそのまま言葉になった詩集 征矢泰子詩集

湖のように豊かな、浦歌無子さんの詩集『耳のなかの湖』



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