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ポエムコンシェルジュの選んだ一篇 第8号 パブロ・ネルーダ『そのわけをはなそう』 

2010.05.01 この記事をクリップ! このエントリーをはてなブックマークに追加

ネルーダ詩集 (海外詩文庫)ネルーダ詩集 (海外詩文庫)
(2004/07)
パブロ ネルーダ

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そのわけをはなそう パブロ・ネルーダ 訳:田村さとこ




きみたちは訊ねるだろう それならばリラの花はどこにあるのか
そしてひなげしにおおわれた形而上学は
そして穴と小鳥たちにみちみちた
ことばをたびたび打っていた雨は

わたしにおこったことを きみたちに話そう
わたしはマドリードの
鐘や 時計や
木々のある町に住んでいた

そこからは革の海のような
カスティリャ地方の乾いた貌が見えた
                わたしの家は
花の家と呼ばれていた なぜならあたり一面
ゼラニュウムの花が咲きこぼれていたからだ
たくさんの犬やこどもたちのいる
うつくしい家だった
        ラウールよ おぼえているか
おぼえているか ラファエルよ
         フェデリーコよ土の下で
思い出しているか
バルコニーのあるわたしの家をおぼえているか そこでは
六月の光がきみの口の中の花々を溺死させていたね
                兄弟よ 兄弟よ
あたりいちめん
にぎやかな声があふれていた 商売ものの塩も
びくびくしているパン野山も
メルメーサのあいだに青いインク壷のような彫像がある
アルグエリュスのわたしのまちの市場
油はスプーンに届いていた
足や手のひびきわたる鼓動が通りにあふれていた
メートル リットル 生活の強烈なエッセンス
                山積みの魚
アーチの迫高が消耗している 冷たい太陽のある
屋根の構造
わめきたてている じゃがいものなめらかな象牙
海までひろがっているトマト

だが ある日 すべてが燃えていた
ある朝 大きなかがり火が大地から吹き出して
ひとびとを貪っていた
そのときから 砲火が
弾薬が そのときから
そして そのときから 血が
戦闘機を持ち モーロ人たちを雇うならず者たちが
指輪をはめ 公爵夫人を連れたならず者たちが
神の加護を願う悪い修道士たちをつれたならず者たちが
空からやってきたのだ こどもたちを殺すために
通りを こどもたちの血が
ひたすら流れていた こどもたちの血のまま

ジャッカルが拒絶するジャッカルども
乾ききった薊が噛みつき唾をはきかける医師ども
蝮たちが呪う蝮ども
おまえたちの前で スペインの血が
蜂起して 矜持と匕首の波の中で
溺死するのを わたしは見たのだ

将軍どもよ
裏切り者たちよ
この息絶えた我が家を見るがいい
破壊されたスペインを見るがいい
崩れた一軒一軒から 花々のかわりに
燃えあがる金属が突き出ている
だが スペインのひとつひとつの空洞から
スペインは生えてくるのだ
だが 死んだひとりひとりのこどもから目のついた銃が現われ
だが ひとつひとつの犯罪から弾丸が生まれて
おまえたちの心臓のありかを
ある日 見つけ出すだろう

きみたちは訊ねるだろう
あなたの詩は なぜ 夢や葉っぱや
故国の雄大な火山をうたわないのか と

きて見てくれ 通りを流れている血を
きて見てくれ
通りを流れている血を
きて見てくれ 通りを流れている
血を



注:
フェデリーコ→フェデリコ・ガルシア・ロルカ
>> Wikipedia

ラファエル→おそらくラファエル・アルベルティ
>> 『巨匠ピカソ展』の前に見てほしいラファエル・アルベルティの詩






今回のポエジー




クーリエ・ジャポンの2月号にチリ特集がありました。
今回紹介するのはそこに取り上げられていたチリの詩人にして外交官パブロ・ネルーダの詩です。

COURRiER Japon (クーリエ ジャポン) 2010年 02月号 [雑誌]COURRiER Japon (クーリエ ジャポン) 2010年 02月号 [雑誌]
(2010/01/09)
不明

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クーリエ・ジャポンのなかでチリはワインと詩の国として紹介されていました。
しかし、今回紹介する「そのわけをはなそう」はワインと詩という組み合わせから遠く離れた激しい詩です。

語り手が書いている通り、この詩では夢や葉っぱ、恋愛のことは書いてありません。
ここに書かれているのは戦場です。この詩の語り手は非常に不利な側についています。

この詩の舞台は第二次世界大戦前のスペインです。
1936年から39年までの間、スペインでは人民政権政府とフランコ率いるファシズムによる内戦が繰り広げられました。

この内戦では自由の勝利を信じてファシストと戦い、そして敗北しました。
国際義勇軍として参加した中にはヘミングウェイや、ロバート・キャパ、パブロ・カザルスなど多くの文化人が参加しました。

語り手は、自分たちのことを「スペイン」という名前で呼びます。

おまえたちの前で スペインの血が
蜂起して 矜持と匕首の波の中で
溺死するのを わたしは見たのだ


ということばの前で私たちはその戦いの悲惨さを目の前にします。そして同時に

だが スペインのひとつひとつの空洞から
スペインは生えてくるのだ


悲惨な戦いからあらたに生まれてくる思いを告げています。

この時期、作者のパブロ・ネルーダはスペイン駐在の外交官として、人民政府側の人の手助けを非公式に行っていました。
そして戦いで友人をなくした人として、それ以上に実際に内戦に関わったものとして彼の自由のための戦いへの強い意志が感じ取れます。

最後の連の

きて見てくれ 通りを流れている血を
きて見てくれ
通りを流れている血を
きて見てくれ 通りを流れている
血を


を見ると私はつい最近インターネットで起きた小さくない事件を思い出します。
Googleが中国での検閲を取りやめたことです。
これまで中国では契約により天安門事件などの画像が検索できなくなっていました。

年末年始と中国から大規模なネットワーク攻撃がしかけられ、
人権活動家のアカウントが被害を受けました。
これに対抗して、Googleは中国国内での検閲を取りやめました。
中国からの撤退を辞さないとも言います。

実際の問題はもう少し違うところにあるかどうかはさておき、
私はGoogleが理念に従ったことをとてもうれしく感じています。

現実的な人が豊かになること文句はありません。
でも、一つお願いがあるとしたら
夢がある人が文化的で経済的な恩恵を受ける世界でありますように。




▼ 作者について ▼




パブロ・ネルーダはチリを代表する大詩人です。1971年にノーベル賞を受賞しています。残っている作品だけでも1000作品以上。
詩人としては愛の狩人であり、外交官としてはチリの世界的な地位を上げるために貢献しました。
最後はがんの治療中にCIAも関わったチリのクーデターに巻き込まれ、殺されるようにして亡くなっています。

1994年制作の映画『イル・ポスティーノ』では彼の詩を大きくフィーチャーしています。

彼の住居、イスラ・ネグラはチリでも有名な観光地として知られています。

>> Kumiko Report 01/23/200のパブロ・ネルーダのたび日記




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