社会分析脳を訓練する実践読書ブログ

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松本タタ『現代人類事情・4』を読みました 

2008.07.23 この記事をクリップ! このエントリーをはてなブックマークに追加

現代人類事情4
 つくりがニュース番組のような詩集でした。

 一番最初が太平洋戦争中の日本の愛国少年を皮肉った『絵日記'45(SIDE A)』。
 多分のぞき、少年犯罪、愛国心環境と続いていくのだけど、最後から二つ目にアメリカの愛国少年を皮肉った『絵日記'45(SIDE B)』で輪を閉じていること。
 そして、「人びとは密かに/計画的なカタルシスをもくろんで/それぞれの夜を過ごしながら/今宵最後の一曲を待っている」(『Radio』)と最後に主題歌を忘れないこと。

 この詩集にはスポーツの時間はありません。ただ、言葉の作り方に強い運動神経があるのです。例えば、子供たちを扱った『未来鳥』
子猫をなでる手と
物をくすねるその手に
べつだん違いなんてない
利き手というだけのことなのだ

心の闇などどこにもない
一人の人間を絶望まで追い込む
そのやり方を見つけてしまい
愉快でたまらぬだけなのだ


 子供たちの悪事にいたる流れが「心の闇」のようないかにも現代のようなキーワードではないというように感じられます。「なでる」「くすねる」「追い込む」という行動で罪をなすという重ね方は子供の昔からのイメージである「無邪気」が表れたものたちです。
 この詩は子供に期待をしない大人が子供を見るという視点で書かれています。でも本当は自分以外のものへ期待すること、特に自分が教育していない人に対する期待というのはなんなのかと考えさせられます。

 ほかにも、最近流行のキーワードを使うことを止めてしまうような言葉はいくつもちりばめられています。
 mixiニュースなどに関連して書かれたニュースの中に面白いニュースを見つけようとされた方、とくに、あまりにたくさんある、同じような「命を大切にしようよ」「死ね」「いい気味」という言葉にイライラされた方に是非、この詩集を見て欲しいと思っています。例えばこんなフレーズ。


何色にも染まるようでいて
何色にも染まったこともない
それでいてあまたの血と汗と涙を
すべて吸い込んで
何事もなかったかのように
すまして青空にはためいている
なもかもだいなしにされた人びとを
泣き寝入りに処することのできる
ひと山いくらのような命のてっぺんに
はためいている正義の旗

『The Flag』



まもなく
時間の止まる国がある

運命は自らの手で切り開くもの
で あるらしいが
他人の切り開いた運命の後始末が
いつのまにか回り回って
押し付けられるというのもまた
いた仕方のないことなのか

時が止まり
そこに初めて
永遠が生まれるのかといえば
そんな話でもないらしく

『ツバル』



 正義や未来という言葉のあいまいさを見せる言葉があふれていて、この詩集のニュース番組のような構造とあわせると日本にいる自分がいかに、あいまいな場所で安全に生活しているかを重い知らせてくれます。
 これはきっと、タタさんの詩が一つ一つの情報に衝動的に反応しないこと。そして淡々と時事を書いているということの結果です。良質なノンフィクションライターが分厚い資料と分厚い本で行うことを彼女は短い詩篇で成し遂げています。

 松本タタさんのこの詩集を手に入れることはオンラインでは困難ですが、詩の方は、紫陽などの同人誌で書かれています。紫陽については編集の藤井わらびさんのBLOG、藤井わらびの詩的生活などにお問い合わせください。
 また、彼女が以前に出した詩集『現代人類事情・2』の評が、道民さん日記に掲載されています。

最後に。お礼を言わせていただきます。ポエケットでお隣になった、紫陽(城戸朱理さんのBLOGにとびます。)のブースからいただきました。ありがとう京谷さん。


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テーマ : 詩・想 - ジャンル : 小説・文学

コメント

No title 

はじめまして、松本タタと申します。「紫陽」の藤井わらびさんからメールをいただいたので恐る恐るのぞいてみましたが、大々的に褒めたたえて頂く文章が続いていたので、勇気を出してよかったと思いました。大人になるとなかなか人から褒められることはないので、たいへんうれしく思います。
私は都合が悪く「ポエケット」には行けなかったのですが、藤井さんから一般の方も買っていったと聞いていましたので、わたくしのしがないコピー本などをどこのどなたが・・・と思いをめぐらせていました。それがこのような形でそれを知ることができて、書いてよかったと感じ、また、お中元など贈らなくてよいのだろうか、と悩んでしまいました。
見ず知らずの方に、自分の頭を悩ませたところや工夫したところなんかが通じているんだなあと思うと、ただ人様のヒマつぶしのためだけに生きていればいいや、と思いかけていたわたくしの心にも一条の光が差すような気がします。前述のとおりパソコンが苦手なので全体を把握しきれないままではありますがとりあえず一言・・・と思いました。それでは。

ありがとうございます! 

はじめまして。
珍しくコメントがついているのを見たら
本人で驚きました。

現代詩手帖の詩誌評にものっていらっしゃいましたね
おめでとうございます。

タタさんについては、石畑さんが激しくお勧めしてらして、
とても興味深かったので、私に進呈してくださった
京谷さんに感謝感謝大感激です。

>大人になるとなかなか人から褒められることはないので、たいへんうれしく思います。

大人になったらもっともっと大々的に人をほめなきゃなとおもいます。

紫陽の詩もすごく楽しかったし、
ここにコメントを残してくださって本当にうれしいです。

私のほうから連絡すればよかったなと
藤井さんにもお礼というか、私のほうがお中元しなきゃいけない勢いです。
ありがとうございました。

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