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モリマサ公の「日曜は父親と遊園地に行こう」を読んで 

2008.07.29 この記事をクリップ! このエントリーをはてなブックマークに追加

日曜は父親と遊園地に行こう モリマサ公

 高田馬場のBen's Cafeで著者で元スノーボーダーで一児の母でもある、モリマサ公に会いました。僕のにテーマがあるのかと聞かれ、僕は凄く考えてたあとで、ない、と答えました。多分僕のは拡散しているという話をしました。

 モリマサ公は、あっさりと自分ののテーマは家族だといいました。僕は、そういわれることを知っていたのだけど、それを避けていました。なぜなら、モリマサ公の集、『日曜は父親と遊園地に行こう』(集の一部は現代詩フォーラムで読めます)で語られていることは、家族関係でしばられるものではないからでした。
 
 たしかに、この詩集であらわれる家族を示す関係の言葉は多いのです。そして、家族の関係が危険にさらされる状況も多いのです。
 家族関係のボキャブラリーを取り上げると、父、母、兄、弟、妹、生後四ヶ月の娘、父親の再婚した人(アジア系)、義父、おじいさん、おばあさん。詩集の中には、娘を入れる保育所を探すこと、父親の再婚を題材にしたものがあります。父親との近親相姦まがいの関係を想像させる詩も少なくとも二つあります。
 でも、この集で描かれている混乱は家族でしばられていないのです。語り手と、語り手が触れる現実とのかかわり方が混乱しています。そして、そのかかわり方がとても見やすい4つの関係がを軸に語られていることです。それは、語り手と肉親語り手と友達語り手と金銭を直接交換する店員語り手とメディアです。

 例えば、「保育所を探して」。長くなりますが引用します。


橋を渡る時必ず覗き込む水面の反射
沈んでいる自転車
群れたボラの子供にまじるアルビノ


どっからどこまでを今と呼ぶのかわからない
腕の中で乳飲み子が
泣き声をあげている
いくつもの 
レイヤーが重なっていくそれぞれの 
距離が
操作され表示されて
わたしたちのピントはあわせられていく
感覚的な現象そのものにすら同じように




記憶に残りそうもない風景で立ち止まる
振り返る
水たまりや家と家の隙間で
とじられていくまぶたの音

わたしたちはどこにだっている


 ここにいたるまで使われている大きなイメージは、子供の保育所を探すこと、911の映像、(多分2004年の)スマトラ島沖地震のニュースを見て、語り手の父親の安否をたずねる電話です。子供の保育所が結局見つかったのかは語られていません(見つかってないことを推測して読めることは読めます)。インドネシアにいるらしい父親は助かってると語り手が答えていますが、ほんとかどうかは分かりません。

 ここでは、「乳飲み子がないていること」・「父親の安否の心配が自分以外から入ること」・「911(や被爆者)の映像の記憶」が組み合わさり、モチーフの中で自分から一番遠いものはずのものが水たまりの中から浮かび上がってきます。

 ここで作者が抱え込んでしまっている現実とインスピレーションの混沌の中で、初めて語り手は「わたしたちはどこにだっている」と言葉にします。
 本当に自分自身の体でようやく抱えられるような等身大の言葉という言葉があるとしたら、ほんとはこんな、すがりつかなければならないような言葉のこぼれ方にあるのではないでしょうか?
 この「わたしたちはどこにだっている」というこぼれ方は、田中小実昌の『ポロポロ 』でこぼれおちる意味にならない言葉に似ています。

 そして、この集にでてくる「イエス 奴だってそう思ったと思うし/だって あたしたちってチョーしあわせにみえたし/全然 みたされててほしいものとか一個もないし/メリークリースマース/イエス 彼のバースデープレゼントたちが/くらいやみよをかけめぐる」(メリークリスマスミスタージェンキンスより)のような口語は等身大の言葉を生み出すための装置になっているのではないかと思えてきます。

 この集の一部は、無料で読むことができます。購入はポエトリージャパンで。


------------
 最後に忘れてはいけない描写をひとつあげさせてください。
『超ショックまた来週菅野美穂死ぬよ』のなかの雪を使った描写は彼女のプロスノーボーダー経験からでる、非常にうごきのあるものです。

 雪ので、雪が上から落ちたり、積もっているものは珍しくありません。でも、このにでてくる「スノーフレーク」は実際の雪ではないのだけど、それでもスキーで直滑降をしたときのように顔に叩きつける雪の感触が強いです。この部分の引用をして終わりたいと思います。

枝からはっぱが全部落ちて 重力がすごくて その星は
スノーフレーク
みたいにフラットで 明け方の スノーフレークみたいにとても退屈で
(あーあーあー)
って叫び声が とても かすれて
ひゅー ひゅー
してる
「可能と不可能を両方選択してください」

可能や不可能をみんな選択して
ゆめの中でおもう
にげなくちゃ
みたいに
ひゅー ひゅー
して
絶対的他者としての現実世界
を泳ぐようにすすんで私たちは一切の望みを捨てて
目を覚まそうとしていて
ひゅーひゅー
いって
その目は覚めながら
まだ
ぬれていて
覚めながら
まだ
ぬれて
いる

『超ショックまた菅野美穂死ぬよ』


 この集の一部は、無料で読むことができます。この詩集をきちんと読んだ人はみんな凄いというのに、どうしてみんなもっと書いてくれないのだろう。

というわけで、最後に彼女の詩集の推薦文を書いてくれている人を紹介してみます。
三角みづ紀さん
リーフレインさん
ウラアオゾラブンコ
古泉智浩さん
次は、無料で読めるところを読んだあなたでありますように。



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