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若者が書いた老獪な世界史 

2008.09.20 この記事をクリップ! このエントリーをはてなブックマークに追加

若い読者のための世界史若い読者のための世界史
(2004/12/01)
エルンスト・H・ゴンブリッチ

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故山村修さんの“狐”が選んだ入門書 (ちくま新書)で知って読みました。

一人の25歳の人が古代から第一次世界大戦までを描きとおした本です。
著者はユダヤ人の美術史家、エルンスト・ゴンブリッチ。
書いたのは25歳のときで1935年でした。

これを書いた翌年に彼はウィーンからイギリスへ亡命します。
彼がユダヤ人だったためです。
彼の住むヨーロッパの歴史を中心にイルゼという女の子に向けて書くというスタイルで、336ページという少ないページでローマ帝国、中世ヨーロッパ、ルネッサンス、啓蒙君主時代そして近代へ続く世界史を書ききることができたのは実感を伝える省略の技術と挿話のうまさです。とてもうまい文章で話が進むため一日で読みきることができます。

例えば、
アステカ王国を滅ぼした後のスペイン人の略奪と虐殺について。
ほとんどの先住民を虐殺されたといわれるこの行為について彼はたったこれだけを述べるだけでその残虐さを伝えます。
人間の歴史の中のこの章は、許されるならばわたしも触れたくないと思うほど、ヨーロッパ人にとって恐ろしく、恥ずかしいものなのだ。


これに対して騎士になる過程を描く詳細さ。「ながいあいだ食を絶ち、城の礼拝堂で祈りを捧げ、司祭から聖なる晩餐を受け」た騎士の得る栄誉が
いまや彼は騎士であり、楯に自分で定めたライオン、ヒョウ、あるいは花の紋章をのせること、一生をかけて目標とするモットーを自分で選ぶこと、そしていまや自分がクナッペ(従者)を騎士に叙任することが許されるのである。厳粛な儀式にならって剣と兜を受け取り、金をかぶせた拍車を馬につけ、楯を腕に通し(略)
と数え上げるだけで胸躍る描写です。

挿絵も非常に効果的です。
川を使って示された歴史の流れ。ピラミッドの壁の太陽の船などの彫刻を写し取る細かさ。そしてブッダの座禅の静かさ。どれも一発で文化の偉大さを記憶することができる挿絵が束になっています。
きっと歴史を学べる一冊になると思います。



さて。執筆から50年後、この本の再版に際してゴンブリッチはあとがきを記しています。
ユダヤ人虐殺を逃れた人の語る歴史としてここの部分も一冊の本にできるのではないかというほど深く刻まれます。
あなたたちは、もし誰かが自分自身について「私は、世界でもっとも賢い、もっとも強い、もっとも勇気のある、もっとも才能のある人間である」といったら、例外なく不愉快になり、その人間を笑うであろう。しかし同じあなたたちが、その人が「私」を「私たち」にかえ、「私たちは、世界でもっとも賢い、もっとも強い、もっとも勇気のある、もっとも才能のある人間である」といったら、感激の拍手喝采を送り、彼を愛国者と呼ぶのはなぜなのかと
と僧侶の問いかけを使って全体主義に対する疑問を問いかける彼の筆は静かながら厳しさを失っていません。


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